[ 七海ちゃん公式FC分室 ]
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30000HIT記念掲示板リレー小説 ベッドの呟き |
○月×日 |
「こんなでかいの、誰が買うのかねぇ」 「新婚さんじゃないの?」 「そうだな。」 家具屋のおじさんとおばさんがそう言っているのを聞きながら、 僕は梱包されて行った。 「どんな人が使ってくれるのかなぁ。新婚さんかなぁ。」 僕はわくわくしながら、トラックに運びこまれた。 『小料理屋』 〜運送屋さんのトラックが小料理屋の前から走り去っていくと同時に、買い物から馨が帰宅した。 後輩「わー、大きなベッド! 先輩これどうしたの?」 先輩「買ったんだよ(^^)」 後輩「なんで? …………あっ!」 先輩「……馨ぅ(はぁはぁ)」(昼間なのに電気プチっ……) 効果音:ずこばこ 新婚さんって…、えええ?♂×♂ぉぉぉぉ!!! 最初はビックリしたけど、良い人達だったので一安心。 |
○月△日 |
馨さんがお姉さんのところから、猫を預かってきた。 ご実家には犬がいるため、預かれないそうで…、 頼むから僕で爪とぎしないでおくれよ。 『猫が来た日』 馨との間に割り込むように、腋の下で丸まっている白猫は、何か夢でも見ているのか、小さな鳴き声をあげた。 「可愛いけど、お邪魔虫だな…。」 不意に腋の下の白猫が、もぞもぞと動いた。 身体のむきを変えると、大きく伸びをする…。 「グサッ!」 手足の鋭い爪が、慎二の脇腹に食い込んだ。 「いてててて…。みど…り…。」 その隣では、まるで川の字で寝る親子のように馨の腕を枕にして、きじトラの猫が、気持ち良さそうに寝息を立てていた。 |
□月○日 |
馨さんの妹さんと弟さんが遊びに来た。 おそろいのパジャマを着て、一緒に寝ると言う…。 4人…4人で僕の上に寝るって? まぁナントカなるとは思うけど、お…重いっ! 僕はスプリングを踏みしめて、ふんばった。 『雑魚寝の夜』 「くしゅっ…さむ……ん?」 ふいに寒さにくしゃみをして慎二は目を覚ました。 気がついたら特注の布団はもちろん、ベットの上にひしめいていた兄妹たちの姿もみえない。 「………ああ、やっぱり……」 ごそごそと広大なベットの端までにじりよって覗いてみると、布団にからまるようにして、馨、満瑠、南波がおっこちていた。 「こんなでかいベットから落ちるなんて、さすが馨の兄妹だなぁ。 ……こんどは特注の敷布団でも注文しとくか。な、みどり」 のぞきこんでそう話しかけると、白猫はちょっとだけ薄目をあけて、寒そうに身をまるめた。 慎二は仕方無しに脇にまるまっている猫を抱き上げて、自分もベットを降りた。 「まあ、たまには皆で床に雑魚寝もわるくないかもな」と苦笑しながら。 『雑魚寝の朝』 馨が目を醒ました時に見たものは、牛柄のパジャマの裾から、にょきっと出ている南波の足だった。 その隣では満瑠が大の字になっており、お腹の上にはちょこんと白猫が鎮座して、気持ち良さそうに寝息を立てていた。 馨のすぐ後ろには、馨をかばうかのように慎二が寝ており、部屋の半分をしめる大きなベッドの真中では、きじトラの猫が大の字で寝ていた。 「あ〜あ、やっぱりこうなっちゃったか…」 馨は弟妹がまだ熟睡しているのを確認すると、こっそりと慎二の額に口付けしてから、朝食用の米を砥ぎに台所へ向かった。 満瑠の上の白猫がそれを見ていたが、「知〜らない。」と言う顔をして、再び目を閉じた。 『証言その1』‐みどり‐ ねむっていたら、すごいおとがして、みみがぴくっとなりました。 ふい、とくびをあげると、さっきまでそこにいたひとたちが、いなくなっていました。 おふとんもどこかへいってしまいました。 さぁむい…… まぁるくなっていたら、いつもなでてくれるおにいちゃんが、ぼくをだきあげて、みんなのところにつれていってくれました。 ぼくは、うれしかったので、にぁ といいました。 ごそごそ、っていうおとで、めがさめました。 ごはんをくれるおにいちゃんが、さっきのおにいちゃんの、おかおをけづくろいしてました。 ぼくもやってあげようっと。 『証言その2』‐南波‐ ふわっと空気が動いて、馨兄ちゃんの起きたのがわかった。 ちらっとこっちを見る兄ちゃんに、慌てて寝たふりをする。 静かに静かに兄ちゃんが慎二さんの方に。うわ‥‥(^-^;) そーだった、このベッドって、いっつも二人で(^-^;)(^-^;)(^-^;)(^-^;) なんかドキドキが止まらなくなったけど、兄ちゃんが立ち上がって動き出すまで、ぼくは必死で目を閉じていた。 『証言その3』‐みる‐ めがざめたら、まわりにだれもいなかった。 ひっどぉい、わたしをおいてどこにいっちゃったのぉ。 おきあがってべっどのはじにいってみたら、みんなでゆかにねていた。 ななみちゃんもおねえちゃんもねているようだったの。 おっきいおにいさんのところにいって、「にゃぁ」とこえをかけてみたけど、なんにもへんじをしてくれなかった。 みどりちゃんがやってきて、おなかがすいたねっていった。 もうひとりのおにいさんは、おきてしごとをしているらしかった。 ごはんちょうだいって、もみもみしてもおきなくて、おまけにわたしにねろとめいれいするかのようにだきよせたので、きょういくてきしどうをすることにした。 ペペペペペペペッ! 今日もねこぱんちがかいちょうだった。 『覚醒』‐満瑠‐ 「いてててて、…こら!みる、痛いじゃないか。」 慎二さんの叫ぶ声で、目が醒めた。南波ちゃんもビックリして、起き上がっていた。 慎二さんの頬にくっきりと猫の足跡がついている…。 「どうしたの!」 慌てて飛んできた馨お兄ちゃんは、朝食の準備中だったのか、エプロンをしたままだったけど、慎二さんの顔を見て笑い転げていた。 驚いて飛んで逃げてきた「みる」を抱き上げて撫でながら、内心 「よし、よくやった!」 と思ってしまったのは内緒です。 ふぁぁぁ…。皆さん起きたようですね。 僕はこれからひと寝入りします。 また、今夜お会いしましょう。ZZZZZ。 <1999.11.02 UP>
SPECIAL THANKS!
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