おにいちゃんといっしょ番外編
最後の混浴
ANNA様

「南波、テレビ見てないでお兄ちゃんと一緒にお風呂入っちゃいなさい。」
 台所からお母さんが南波ちゃんに声をかけた。
「はぁい。」
 と、返事をして南波ちゃんが浴室に向かった。
「私も一緒に入るー。」
「満瑠、もう小学4年生なんだから、お兄ちゃんと一緒は止めなさい。第一に三人じゃ狭いでしょう。」
「いやぁ、一緒に入るの。」
 私はお母さんの言葉を無視すると、てってと浴室に向かった。
「馨お兄ちゃん、みるも入るよ。」
 脱衣所から中に声をかける。
「え〜?みるちゃんも入るの、狭いよ。」
 南波ちゃんが抗議の声をあげたけど、聞こえないもーん。
「仕方が無いなぁ、静かに入るんだよ。」
 身体を洗っているのか、シャワーの音が聞こえる浴室の中から、馨お兄ちゃんがそう言ってくれたので、お母さんが止めに来ないうちにと、さっさと服を脱いで浴室のドアを開けた。
 シャワーのせいか、浴室内はむわっとした水蒸気で前がよく見えない位だった。
「馨お兄ちゃんと入るの久しぶりだねー。」
 そう言って一歩踏み出した満瑠の足元には、ちびた石鹸が転がっていた。
「満瑠、危ないよ。」
「みるちゃん、あぶない!」
 兄二人が声を出す間もなく、私は石鹸を踏みしめていた。
 つるん、スッテン。
「きゃぁ!」
「ぐえぇぇぇぇぇー!」(お約束)
 狭い浴室内に2種類の悲鳴が響き渡る。
 私は、モンキーバナナくらいの支えのおかげで、何とか転ぶ事は免れた。



 それ以来馨お兄ちゃんは、私とも南波ちゃんとも、一緒のお風呂に入ってくれなくなった。(;_;)
<1999.12.01 UP>