軟 禁
ANNA様

 タタタタっと階段を駆け登る音がして、間髪入れずにドアが開いた。
 押入れの隙間から光が差し込み…、目の前に心配そうな先輩の顔が有った。
「あの子達は?」
「にゃんが送って行ったよ。」
「あ〜、ビックリしたぁ。いきなりくるんだもの…。」
「靴隠しておいて良かったね。」
「うん、いきなり入ってこられたら…」
「寒くない?」
 そう聞かれた僕はタオルケットを纏っただけの姿で…、顔が真っ赤になっているのが判る。
「大丈夫。寒くは無かったです。」
 受験勉強と称して、エッチな事をしていたのがばれたら、あの子達に何されるかわからないから、にゃんちゃんの協力の元、あわてて二人して買い物に行っている事にしたのだ。
「このまま、ずっと軟禁しておきたいな。」
 先輩がタオルケットごと僕を抱き締めながら囁いた。
「僕もずっと、ここに居たいです。」
 先輩の胸に身体を預けながら、僕もそう答える。
「そろそろ、にゃんが帰ってくるから…。」
 名残惜しそうに先輩が僕のシャツを手渡してくれた。
 子供みたいに着せてもらっているうちに、玄関の方で物音が響く。
「慎二お兄ちゃん、差入れ買って来たよ〜。」
「下に行こうか?」
と先輩。
 たった20分程の軟禁だったけど、僕と先輩とにゃんちゃんの秘密の時間。
<1999.08.22 UP>