[ 七海ちゃん公式FC分室 ]
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三宮家の日常
〜お猫様たちの試練〜 ANNA様
「みどりは大人しいから何とかなりそうだけど、問題はみるの方だな。」 「ちょっと可哀相な気もするけれど、俺のバッグに入れて行こう。」 「僕、何すれば良いの?」 おにいちゃんたちがなにかはなしている。 どうやら、ぼくとみるちゃんのことみたいなんだけど、いつもとようすがちがうなぁ。 『…にゃんかあるわね…。』 みるちゃんがふきげんそうに、しっぽをしぱたしぱたとうごかしながらいった。 『おでかけするから、おいていかれちゃうのかなぁ。』 おにいちゃんたちは、こーとをきていたのでぼくはそういった。 『おでかけならわたしたちのしんぱいしないで、もっとこっそりでかけてるわよ。』 たしかにいつもなら、ぼくやみるちゃんがいっしょにつれていってって、おねがいしてもつれていってくれないものね。 「等、先にみるを何とかしよう。緑、お前みどりの方を抱いてろよ。」 「樹、危ないから緑と隣の部屋に行ってなさい。」 「はぁい。」 「みどり、おいで。」 みどりちゃんがとなりのへやにつれていこうとして、ぼくをだっこした。 『うにゃぁん?』 どこいくの? 「ちょっと一緒に隣に行ってようね。」 『にゃぁぁん』 だっこされるのだいすき。 ぼくはごろごろとのどをならした。 「みどりは手がかからなくて良いなぁ。」 『なうぅ〜』 ぼくはほめられてうれしかった。いつきちゃんもなでなでしてくれた。 だっこされたままでとなりのへやにいった。 『うにゃぁん?』 みるちゃんは?ってきいてみた。 「一緒にお出かけするんだよ。」 『おでかけ?おそとにいくの?』 『おそとにいくのはたのしいけど、さむいのいやだなぁ…』 「さて、みる。こっちおいで。」 「等、バッグ開けとけよ。」 「純兄ィ、ちゃんと押さえてくれよな。」 『…ん、なにかいつもとようすがちがうわ。』 いつもならいたずらするなっておこられる、ひとしママのばっぐのくちががあいている。 「みる!ほらほら。」 がさがさっておとがするから、そっちをみたら…、じゅんちゃんがねこじゃらしをぱたぱたしてた。 そんなおもちゃなんかでなにをしようっていうのかしら…。ああ…、でも、あのぱたぱたは… わたしのなかのしゅりょうほんのうが、ぴくぴくうずいた。 しょうがないわね。あそんであげようじゃないの。 ねらいをすませて、えものをげっとする。これがやせいのだいごみよね。 だだだっと、とっしんしたら…。 「やった、等。鞄持ち上げろ。」 「じぃぃぃぃー。」 「捕獲完了!」 「財布取って来るから、逃がすなよ。」 いきなりかばんがういて、あたりがまっくらになった。 『なっ、なにするのよ!』 『おとめにたいしてこのしうちはなに!』 『もう、ゆるさないから!』 ねこぱんちをおみまいしても、かばんはびくともしなかった。 『いやぁ!だしてよぉーーー!』 『ねこさらいぃぃぃぃぃー!』 「すっ、すごい…まるで鞄が生きているようだ…」 「もう、この鞄使えねぇよぉ…。」 「緑、樹、行くぞ。」 『にゃぁん、にゃぁぁん、ふぎゃぁぁぁん。』 ひとしママのかついでいるかばんのなかから、みるちゃんのこえがする。 『にゃおぉぅ…』 どうしたのってきいてみたけど、みるちゃんにはきこえないようだった。 じゅんちゃんがぼくをこーとのなかにいれて、だっこしてくれた。 「これからお出かけだぞ。」 そういってあたまだけだして、こーとのなかにすっぽりはいったぼくをなでてくれた。 『うにゃぁん』 さむいからだっこしておでかけなんだね。 はじめてここにきたときは、じゅんちゃんのこーとのぽけっとのなかにいれられてきたんだよ。 おおきくなったから、もうこーとのぽけっとにははいれないけど、あのときとおなじようにあったかぁい。 みるちゃんもおとなしくしてたら、ひとしママのこーとにいれてもらえたのにね。 「じゃ、行って来る。」 「一応、リード付けておいた方が良いんじゃないの?」 「はい、純兄ィ。みどりのリード。」 いつきちゃんがぼくのくびわにりーどをつけた。 あんまりすきじゃないけど、いっしょにおでかけするならがまんするね。 げんかんをでたら、おそとのくうきがつめたかった。 『にゃう』 さむいよっていったら、「すぐ着くから大人しくしてろよ。」ってへんじがかえってきた。 『うぎゃぁぁぁん、みぎゃぁぁぁー、ふぎゃぁぁぁん!』 みるちゃんったらまだあばれてる…。ひとしママこまってるよ。 ひさしぶりのおそとははっぱがなくなっていたり、かぜがつめたかったりして、それでもいろいろめずらしくって、こーとのなかからきょろきょろあちこちみていた。 へいのうえにどこかのねこがいたけど、すぐにみえなくなった。 どこかのいぬがほえたときは、こわくってじゅんちゃんにつめたてちゃって、ごめんなさいした。 「ほい、到着。」 「やっと着いたかぁ、帰りは代わって欲しいよ。」 「しょうがないな、代わってやるよ。」 「さんきゅ、純兄ィ。」 ついたのはよそのおうちだった。 ぴんくいろのふくをきたおねえさんが、ぼくのなまえをきいた。 「三宮さんちのみどりちゃんね。」 『にゃおん』 ぼくはげんきにおへんじした。 「え〜っと、みるちゃんの方は…」 「この中です。」 みるちゃんのかわりにじゅんちゃんがへんじをした。 「じゃ、先にみどりちゃんからね。」 ぼくはじゅんちゃんにだかれたまま、おへやのなかにはいった。 おへやのなかにはしろいおひげのおじいさんがいて、ぼくのほっぺをほりほりって、かいてくれたので、おれいにすりすりしてあげた。 おへやのなかはいろんなにおいがして、ちょっとこわかったけどじゅんちゃんがすぐそばにいてくれたから、だいじょうぶ。 おひげのおじいちゃんがだいのうえにのったぼくをなでてくれた。 あ、いやぁぁん。おしりまでみられちゃった。 「うん、元気ですよ。どこも悪くない。」 「じゃ、予防接種だけしておきましょう。」 『にゃぁん』 よぼうせっしゅってなぁに? 「じゃ、押さえてくださいね。」 『うにゃぁぁぁぁ〜』 ちくってしたぁ、なぁに、おじいちゃんいじわるしたの?いまのなに? 「ありがとうございました。」 じゅんちゃんがぼくをだっこしてくれた。 「良い子だったよ。」 おじいちゃんもぼくをなでてくれた。 なんだったんだろう…いまのちくっとしたのは…? まぁいいや、もういたくないもん。 「終わった?」 「うん、大人しいもんだったよ。」 「やっぱり問題はみるだよな。」 「みどり、ちょっと大人しくここで待ってるんだよ。」 じゅんちゃんがぼくのりーどをいすにくくりつけた。えっ、おいてっちゃやだぁ〜。 『にゃぁぁん、うなぁぁぁん』 じゅんちゃんとひとしママが、みるちゃんのはいったかばんをもってさっきのへやにはいっていった。 『うなぁぁん』 つれていってよってないてたら、さっきのおねーさんがきて 「もう少し待っててね。」 って、いっておやつをくれてあたまをなでてくれた。 『ふぎゃぁぁぁぁーーーー!』 とつぜんへやのなかからみるちゃんのさけびごえがひびいた。 「いてぇー!こら、みる。大人しく…いてててて。」 ひとしママのひめいもきこえる。 『やめてー! はなしてよ−!』 『ねこごろしぃぃぃぃぃーーーーー!』 「みる。動くなっ。」 じゅんちゃんのこえもきこえる。 『この、じじい。おとめのからだになにすんのよー!』 『さわんないでっていってるのがわかんないのぉ!』 あまりのけんまくに、ぼくはくちにしていたおやつをぽろっとおとしてしまった。 『みぎゃぁぁぁぁぁーーーーー!』 ひときわおおきなひめいがひびいたあと、へやからでてきたかばんはぴくともうごかなかった。 『うにゃぁぁぁん?』 みるちゃんは?ってきいてみた。 「みどり、待たせたね。みるはこの中だよ。」 かばんのなかでみるちゃんはぐったりしていた。 『にゃにゃぁぁん』 どうしたのってきいてみても、つかれたようにめをあけるだけだった。 「みどりもこの中に入るか?」 『うなぁん』 ぼくはみるちゃんのそばによりそった。 じゅんちゃんがぼくとみるちゃんのはいったかばんをかつぎあげて、あるきだした。 「どうも、お騒がせしました。」 「いいえ、元気が何よりですよ。」 「先生、手大丈夫ですか?」 「いやいや、これくらいしょっちゅうですよ。これを我慢できなきゃ 獣医はやっとれません。」 ぐったりしているみるちゃんのおかおをなめてあげたら、みるちゃんはちいさなこえでへんじをした。 『こんどであったら、ぜったいにまけないから』 猫の健康診断と、予防接種はその後毎年の年中行事になり、等の鞄を見るとみるが敵意剥き出しになって攻撃する為、等の鞄はぼろぼろであった。 これもまた、三宮家の日常風景である。 <2000.01.02 UP>
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