掲示板リレー小説
温泉物語
■温泉旅行の悲劇 <By みる>

「わぁ、すごくいい景色〜!ほら、海がみえますよ、先輩」
 山の上のややひなびた温泉旅館の部屋で、馨は窓を開け放してうれしそうに慎二を振り返った。
「こんないいところに先輩に連れてきてもらえるなんて…」
 満面の笑顔ではしゃぐ馨の姿に、ぐらりと慎二の理性の天秤がかたむく。
「馨……」
 くそ忙しい仕事をさっさと片付けて、同僚・上司の悲鳴も省みず無理やり休みをむしり取った甲斐があった。
 しみじみ己の幸せを噛みしめて、慎二が立ち上がり、馨を背中から抱きしめようとした、その瞬間
「おにーちゃん、来てー! あっちのお部屋もすごい見晴らしいいよー!」
 すぱーん!と景気のいい襖の音と共に、満瑠と南波が部屋に飛び込んできた。
 おじゃま虫たちは二人の旅行の話を聞きつけて、ちゃっかりついてきていたのだった。
「…………」
 馨の肩の上で行き場を失った手が哀しい、温泉旅館の出来事だった。
■大人の時間  <By 慎二様>

深夜、露天風呂から部屋に戻った2人
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先輩「馨、そこに座って」
後輩「はい。こーですか?」
(背後に回って浴衣の合わせ目から手をさし込み、さし込み)
先輩「まだ少し濡れてるね」
後輩「だって風呂場で先輩がせかすから……。
   丁寧に拭くヒマなかったんです」
先輩「かわいいよ、馨(欲情バロメータが0から一気に100)」
後輩「あ。先輩、そんなに強くこすられたら僕もう……(ほんのり赤色)」
後輩「……あぁぁぁぁぁ。ううっ……」
先輩「こうか? こうか? ぐへへへ」

(電気ぷちっ)

※原文に忠実に再録しております。

■子供の領分 <By ANNA様>

 子供と言うのは、旅先などでは異様にはしゃぐ物である。
 また、何故かは知らないが普段なら何回起しても一向に起きてこない奴に限って、旅行先などでは夜中まで騒いでいたくせに、真っ先に目覚めて他の人間を起こしに行ったりするものである。
 23時などまだ宵の口、子供は寝る時間だからと布団に追いやられた二人は、一応布団に入っては見たものの、そうそう眠れはしなかった…。
満瑠「ねぇ、南波ちゃん。」
南波「うん?」
満瑠「眠れないね。」
南波「うん、眠くならないね。」
満瑠「馨お兄ちゃんの部屋に行こうか…。」
南波「…お布団もっていって、一緒に寝ようか。」
満瑠「そうしようよ。うん!」

ずっ、ずずずっ、ズルズルズル…。(真夜中の旅館に響く不気味な音…。)

馨 「……あぁぁぁぁぁ。ううっ……」
慎二「こうか? こうか? ぐへへへ」
(電気ぷちっ)
馨 「やぁ、そんなとこ…」
慎二「馨…可愛いよ…。」
馨 「先輩、僕…。ん?」
慎二「どうしたの?」
馨 「なんか変な音がする…。」
慎二「気にしないで、こっちへおいでよ。」
馨 「……廊下見てきます…」
慎二「(にやにや)恐いとか言って抱き付いてくる馨も…」
(中年オヤジ150%アップ:当社比)

ガラガラガラ…(部屋の戸を開ける音)

馨 「あ、あ〜?満瑠、南波まで…」
満瑠「馨お兄ちゃん、せっかくだから一緒に寝ようよぉ。」
南波「お布団持ってきちゃった。」



教訓
 山の上のややひなびた温泉旅館の部屋の戸には、鍵などと言う便利な物はついていない。(笑)
 二つ仲良く並べられた布団が哀しい、温泉旅館の出来事だった。
<1999.12.01 UP>