Lips
Written by : みる




愛してるとあの人に伝える唇に、彼は性器を押し込む。
彼はあの人の友達。
たぶん一番の親友。
だから、あの人を受け入れる場所には決して触れない。
まるで私にその器官がないかのように、扱う。


唇だけが、私と彼をつなぐ場所。





 資料室の薄汚れた床に私は膝をついていた。
 ほこりと日焼けした紙の匂いが入り混じった独特の香りと、視界を埋め尽くすスチールラックと本と茶封筒と紙の束・束・束。ドア一枚隔てた大学の廊下からは行き交う学生達の声と足音がひっきりなしに響いている。
 狭い空間を有効に利用するため、本棚と本棚の間や作業用の細長い会議机と本棚の間は最低限の幅しかない。ほんのわずか通路用に作られたスペースで彼が机に寄りかかっている。何度も水を通したジーンズと洗いざらしたシャツという無造作きわまりない姿なのに、つい見とれてしまいそうになっている自分に気がついて、内心で苦々しさをかみ殺す。
 そう、こんな男に目を奪われてなんてどうかしている。
 私は彼の足元に膝を折って、切れ長の黒い瞳と酷薄そうに引き結ばれた唇を無言で見上げている。先週も同じように彼の前に膝をついていた。先々週も、先月も、同じことだ。私は彼の前で跪くことしか許されていない。
「ブラウスの前あけろ」
 簡潔にして無駄の無い命令が出される。
 言われたとおり、白いシャツブラウスの前ボタンをひとつずつはずしていく。ブラウスの裾はスカートの中に入れたまま。次の言葉をいわれる前に、ブラの肩紐をおとしてカップを下にずりさげる。私のあまり大きくない乳房がひやりとした空気に触れて、反射的に淡い色の先端が堅くしこっていくのが見える。
 いやらしい体。
 何度も言われて心の奥底にまで刻みつけられた言葉が浮かび上がってくる。悔しいことに私はそれを否定できない。疎ましくてあさましい自分を無理やり意識の向こうに押しやって、顎を上げて彼の指示を待つ。
 大きな手がはだけたブラウスを更に押し広げ、私の肩ごと露出させる。ひじまでブラウスを下ろして、ブラから乳房をこぼれさせた中途半端の格好をした私の目の前で、前ボタンがはずされ、ジッパーが下ろされていく。
「しろよ」
 ジーンズの前をくつろげた格好のまま、彼は後ろの机に腕をついて私を見下ろした。
 この言葉を聞くたびに言葉にはできない鈍い痛みが胸の奥に広がっていく。
 無意識に唇を噛んだ私に気づいて、彼の唇がゆるく弧を描いてつりあがった。皮肉な笑み。声にならずともその表情が語っている事は明らかだ。
 今更、と。
 あらためて言われるまでもない。
 そんなことは私自身が一番よくわかっている。こうなってしまったのは私の弱さ。あの人に知られたとしてもどんな申し開きもできやしない。
 目の前にいるこの男は、あの人の親友。
 おそらくはあの人が最も心を許し、信頼している存在。
 時々自分でも不思議でたまらなくなる。私はなぜ、いまだこの男のことなど何一つ知らないまま、知ろうともしないまま、こんな一方的に呼び出されて言うなりに膝をついているのだろう。
 それは色恋などという甘い感情からは遠い。私たちの間にはそんなものが分け入る隙はない。
 




 半年前、私は恋人であるあの人とつまらない喧嘩をした。
 よくある出来事。長い長い春は、時間の経過とともに恋人達から情熱を奪っていった。それは、今となってはもう何を怒っていたのかさえ思い出せないほどの、ささいな諍いだった。別れを決意させるほど決定的な出来事ではなかったけれど、その時の私に、あの人と一緒にいることの意味を考えさせるには充分だった。
 人を好きになること。あの人を好きな理由、本当にあの人でなくてはダメなのか、何度考えても答えはでなかった。私はすっかりあの人への気持ちを見失ってしまっていた。
 好きという気持ちさえあやふやになり、やがて私から次第に距離を置くようになっていった。
 隙だらけになっていれば、間違いが起きるのは時間の問題だ。
 実際、私はあの人に黙って友達に誘われるまま合コンに行き、その場で知り合ったばかりの男とホテルに行くことになった。もちろん断ることも、そ知らぬふりで通すこともできた。でも私はそうはしなかった。
 特にその男に惹かれたわけではない。16であの人と知り合って、私はあの人しか知らなかった。だから―――本音を言うと、誰でもよかったのだ。ただ、あの人でない男の人を知りたかった。人当たりのいい笑顔と、十人並みの容姿の男は私になんの感慨を抱かせなかったけれど、同時に生理的な嫌悪も感じさせなかった。それで充分だった。
 愚かで安っぽい願望は、残念なことに実現することはなかった。
 いざホテルに入ろうとした腕を、あの人の親友である彼につかまれて引き戻されてしまったから。
 その夜まで私と彼は、あの人を間に挟んでせいぜいお互い顔と名前を知っているだけの、縁遠い知り合いに過ぎなかった。今、思えばうすぐらい夜の街で私によく気づいたものだ、と感心さえしてしまう。立場が逆ならきっと私は彼に気づかなかったに違いない。
 今更こんなことを考えても仕方ないのだけれど、あの日、私を見つけたのが彼ではなくて、あの人だったなら、一体どうなっていただろう。
 見知らぬ男と腕を組んでホテル街を歩いている自分の恋人を見つけたら、あの人は一体どうしただろう。怒るだろうか。呆れるだろうか。そういうことか、とため息をつくだろうか。想像するだけで胸が痛くなってしまうことだけれど、それが原因で別れを迎えることになったとしても、少なくとも今のこの状況よりは100倍もマシだったような気がする。
「俺はお前を許さない」
 私を振り返り、吐き出すように言ったその言葉が、おそらく唯一であり、今こうなっている理由の全てなのだろう。
 私を誘った男はすでにどこかに消え去り、ラブホテルへと続く裏道の真ん中に私と彼の2人だけが残された。
 直接話したこともなければ、もちろんどんな人間なのかも知らない。あの人の隣でよくみかけた人懐っこい表情とははうって変わった冷徹な表情と、睨みつける瞳から剥き出しになっているあまりにも強い激しい感情の色が、私から腕を振り払って逃げ出す勇気を奪った。
 掴まれたままの二の腕は、無意識なのかわざとなのかこめられた力のあまりの強さに痛みを訴えていたけれど、そんなことに気にとめている余裕はなかった。
 ただそこにいるだけで周囲の空気をびりびりと震わせるような、そんな張りつめた空気が彼をとりまいていた。
 ほんの少し身動きしただけで、何が恐ろしいことが起きてしまいそうな、そんな気配。
 逆らってはいけない、逆らったら、きっと―――殺されてしまう。
 そう感じた瞬間のどうしようもない絶望感を、いったいどんな言葉であらわせばいいのだろう。
 よく考えてみればそんなことあるはずないのに―――いや、もしかしたら、実際そうなっていた可能性だって決してゼロではなかったはずだ。あのとき彼からまっすぐ私に向かって放たれていた、それは殺気以外のなにものでもなかったのだから。
 自分がいまどんな状況に置かれていて今から何をされようとしているのか考えるより、ただただ私は己の保身のために、小さな動物がそうするように息をひそめてじっと体を硬くするよりほかできることはなかった。
 抗うこともできぬまま見知らぬホテルに連れ込まれ、乱暴にベッドの上に投げ出された。とっさに逃げ出そうと捻った体を恐ろしいくらいの力で押さえ込まれて、悲鳴は喉の奥に塊となって張りついた。
 その後はただ、恐怖と困惑が私を支配した。
 私は服一枚脱がされないまま、口を犯された。
「こんな……こんな女に……っ」
 断片的にしか残っていない記憶の中に、そこだけくっきりとうなるような彼の声が響いている。
「なんでだよ……」
 そのときの彼がどんな顔をしていたのかは見ていない。
 目は開いていても私の目は何もうつしてはいなかったから。
 無声映画みたいに、ただあらゆる場面が私の目の前を流れていくのをただ呆然と見ていた。ときおり口の中に異物を押し込まれる苦しさにたまらず目をとじると、視界がブラックアウトして分離しかかった体と視覚の感覚が繋がってしまう。死にそうな息苦しさと口の中を擦られる生々しい感触と耳を打つ荒々しい音から逃げるように、私は目を見開いて目の前に幾度も迫ってくる彼の腹部を見ていた。
 長い長い時間のあと誰もいなくなった部屋で、最初に意識に上ってきたのは匂いだった。むせ返るような生臭い匂いが乾き始めて強張りかけた私の顔の上や口の中からたちのぼってきて、まずい、と思った瞬間にはベッドに吐瀉物を撒き散らしていた。
 それからのことは思い出したくもない。
 悪夢となって何度もあの夜が繰り返された。いやになるほどリアルな感触と生々しい恐怖が夢を支配し、あの時と同じ心と体が乖離していくような非現実感とともに目覚めるたび、私はパジャマの腕に爪をたてて、自分を取り戻さなくてはならなかった。
 彼は容赦しなかった。なんとか忘れてしまおうとあがく私を繰り返しメールで呼び出し、あの夜と同じように口を犯す行為を強要した。
 断ることなどできなかった。
 考えることなど私には何一つ許されていなかった。
 彼は一言も、私を脅す言葉など口にしていない。そんなものは必要ないからだ。彼の顔を見るたびに心は竦み、身体は強張った。誰かに助けを求める事すら考えつかなかった。
 一度は自分から離れようとしていたのに皮肉なことだと思う。
 あの人と別れるために見知らぬ男に抱かれようとした私が、今では別れを告げられることを何よりも恐れている。今になってあの人を失うまいと、躍起になっている。
 そのために他の男の性器を愛撫する、という矛盾した行為をくりかえしながら。





「早くしろ。時間がないんだから」
 さして焦っているようでもない冷たい声が、頭の上から降ってくる。
 彼に気づかれないよう薄く開いた唇からゆっくりと息を吐き出して、感傷と後悔を振り払う。もう戻る道などないのだ。
 まぶたを伏せて、まだふくらみの薄いチェック柄のトランクスにそっと唇を押しつける。ほんのりと布越しに伝わってくる彼の体温と、独特の濃い匂いが鼻腔いっぱいにひろがっていく。柔らかな感触を楽しむように唇で挟み込むようなキスを繰り返す。
 鼻や頬、唇を擦りつけているうちに、やわらかな弾力で応えていたそれが次第に堅く、はりつめていく。唇で厚みをましていく竿の部分を布ごと咥えて、腰に回した手でジーンズを膝上あたりまで引きずり下ろす。
 慣れたくもないのに慣れてしまった口戯の手順。
 心の中で自分を嘲笑う気持とは関係なしに、唇は薄地の向こうの感触をなぞるように追いかけて動く。
 そうして自分がどうしようもなく穢れてしまったことを思い知らされる。
 あの日ホテルで私を抱くはずだった見知らぬ男より、こうして繰り返し口内を犯す彼のほうが何十倍も私の心を汚していく。取り返しのつかない奥底まで、私は変えられてしまった。
 あの人のものではない性器を私は迷いなく愛撫する。あの人にするように丁寧に、より確かな快楽を引き出していくように、張り出した部分を布地越しに舐め上げては唇で甘噛みする。先ほどまで柔らかい手ごたえだったものが、もうどんなものもはじき返すような硬い感触で脈打っているのを感じて、ぞくり、と体の奥からまっすぐに欲望がたちのぼってくる。鼻先に感じる濃い彼の匂いも、いつものように冷たく私を見下ろす瞳も、なにもかもが快楽に結びついていく。私がこれほどまでに自分を疎んでいることさえも、この体は快楽として受け止めてしまう。
 もしも私の頭を押さえつける彼の顔が醜い優越感に濁っていたなら、私はこれほど自分に嫌悪感を抱くことはなかっただろう。彼を憎み、強いられる行為を恨むだけで済んだ。けれども、実際は口での行為を強いる加害者である彼が、いいなりになっている私を小馬鹿にしたような冷たい瞳で見下ろしていた。あたかもそれが私自身が乞い望んだことであるかのように。
 ただひとつ確かなのは、こうして私を呼び出してその口を犯していても、彼が見ているのは私ではないのだということ。その視線は私の中のあの人だけに注がれている。
 彼にとってあの人がどれだけ大切な存在であるのか、私は永遠に知ることはないだろう。そして、彼が私をどれほど憎んでいるのかも、計り知れないに違いない。
 そう、これは罰だ。
 私への。
 そして、おそらくは彼自身への。
 私があの人に対して犯そうとした罪を、彼はおそらく一生許さない。彼にそんな資格があろうがなかろうが関係ない。私を永遠に憎み、断罪し続ける。
 けれども彼もまた私と同じ罪人なのだ。
 彼は私の口を通して自分の中の罪を見つめている。そして自分の罪に自ら罰を与える。けっしてその罪を忘れることがないように、そこから逃げだすことができないように、自ら傷口をその手で押し広げて絶えず新しい血を流し続けようと、両手を真っ赤に染めてあがく姿がそこに見える。
 そして、私が自分をなによりも罪深いと思うのは、見えない血を流しながら、張りつめた性器で私を心ごと打ちのめそうとする、この冷たい存在に魅せられてしまっている、ということだった。
 それは愛ではなく、恋でもなく、情でもない。
 私を窒息させるように、ゆっくりと体積を増して胸郭を押し広げていくこの気持ちがなんであるのか、つけるべき名を私は知らない。
 彼は私には何一つ語らず、そして語るべき言葉を持たない。全ては放り出された細切れのピースを繋ぎ合わせた私の想像にすぎず、もしかしたら真実はもっと別のところにあるのかもしれない。
 それでも、温度のない瞳を覗き込んだ瞬間の、体中の血が沸騰して皮膚のすぐ下を一気に走り抜けていくような興奮は、けっしてこの時、この行為以外にはありえないものだ。
 強制されているから、逆らえないから、私はここに跪いているのではない。
 ほかでもない私がこの彼を見たいと願っている。
 私は今や被害者などではない。薄汚れた共犯者だ。共食いする獣のように、自分の牙に突き刺さる相手の肉の感触と血の味でのみ、自分の在り処を知る。
 彼が私を通して己を見るように、私も見えない血に塗れた彼の中に私自身を見ている。
 他の誰が知らなくても、許されなくても、私の罪はここにあり、彼によって裁かれる。
 ここに私を打ち据える人がいる。
 身震いするような欲望が背筋を這い上がってきて、頭の中を真っ赤に染め上げた。理性も道徳もすべてが雪解け水のように溶けて流れだしていく。
 たまらなくなって執拗に顔を擦りつけていた薄いトランクスを引きずりおろす。
 そんな私を彼はいつもの突き放した目でみていた。一方的に昂ぶらせた男の性器にむしゃぶりつこうとする様子を、まるで嘲るように、薄い唇の端をあげて。
 飛び出るように現れたモノは、あくまで猛々しく、そしてほんの少しだけこっけいだ。でもそれは頭の端をほんの少しかすめただけ。ピンク色の大きく張り出した先端にすばやく唇を押しつけると、焼けるような熱さに薄く開いた唇から知らずため息が漏れる。唇の隙間から舌を伸ばしてざらりと嘗め回す。つい5分前まではあんなに柔らかだったのが嘘のように堅く張りつめた大きなモノがびくりと勢いよく跳ね上がった。
 ときどきちゅっ、と小さな音を立てて吸いついては濡れた舌をまんべんなくまとわりつかせ滑らかな表面を濡らしていく。ぴんとはりつめた薄い皮膚越しに力強く流れ込む拍動が伝わってくる。
 氷のような彼の瞳とは対照的な焼けるような熱さ。わたしが内側に入っていくことを拒もうとする硬さ。
 何度も何度も舌で味わって、でも舐めているだけではたまらなくなって、吸いついた先端からぬるりと口内へと堅いモノを導いていく。
「ふぅ……ン………」
 むせ返るような彼の匂い。
 張りつめた器官で舌と口の中の粘膜を強く擦られ、割り開かれる。ただそれだけで、悦びに深いため息が漏れた。
 口の中をいっぱいに押し広げている形を舌先でたどっていく。丸みを帯びた先端からその割れ目、くびれからはりだしたエラの部分を尖らせた舌先で舐め上げて、裏筋をちろちろとくすぐる。深く飲みこみながら血管の浮き出た胴体に舌を絡め、ゆるく吸い上げて先からあふれ出たぬるつく腺液を飲み込む。
 口は、彼との行為において、永遠に黙殺されたままの性器になり代わって快楽を受け取る事ができる、唯一の器官だ。何度も何度も繰り返し口だけを使われるうち、私は無意識のうちにそこから生まれる感覚を貪ることを覚えた。
 何一つ、性器にも性感帯にも触れられることない一方的な行為。けれどもそれゆえに、この体はほんのわずかな快楽にさえ敏感に貪欲に反応してしまうようになってしまった。
 強く吸って密着させた口の中を張りつめたモノで擦られると、痺れるような熱が走って全身の感度をあげていく。下肢で火照るそこはもちろん、いつも剥き出しにされたまま、一度も触れられることもなく放置されている乳房の先までもが、ちりちりと引っかかれたように甘く痺れてしまう。
「んっ、ふ……ぅん……っ」
 快楽を与えるためというよりは、自分自身で貪るために、私はリズミカルに頭を動かした。硬く強張ったそれで興奮して敏感になった口腔の粘膜をかき回され、そこから生まれる痺れるような快楽で何も考えられなくなっていく。唇からは始終濡れた音が零れ落ちて、そのいやらしさが疼く下腹部を更に火照らせた。
 どうしてだろう。最も深い欲望はあの人の優しい手ではなく、他でもない彼によって呼び起こされる。
 舌や口内を支配するこの硬さは、決して嘘をつかない。どんなに彼が私を疎み、憎んでいたとしても、咥えている私にはなにひとつ関係ない。こうして繰り返すたびに逃げ場をなくしていくこの男の、私を軽蔑してやまない瞳の奥にある苦しみこそがただひとつ求めるもの。
 深いストロークを次第に早め、舌を絡みつかせてひときわ大きく膨れ上がったそれを思うさま味わう。時折吐き出して咥えきれない根元やその奥にまでも舌を伸ばす。
「ああ………」
 目の前でひくついて先から雫をこぼすありさまに、体の一番深い部分がわなないた。決して満たされる事のない場所。飢え続ける欲望。それが不幸だなんて思わない。
 私の求めるものは目の前にある。
 


 愛でもなく、恋でもない。それは私の胸の奥に巣食う昏い欲望。



 そうしてまた私の携帯に呼び出しメールが入る。
 本文もない、Re:というタイトルだけのメール。受け取ったらすぐに消してしまう。場所と時間を確認する電話の履歴もその場で消す。痕跡はなにも残さない。
 まるで何もなかったかのように、日々は続いていく。
 けれども、私の罪、そして、彼の罪は消えない。
 私の唇の内側に永遠に刻まれていくのだ。





PREVEW <<< TOP >>> NEXT



…みるさんに作品の感想を書く …




HOMEaboutROOM Topbbslink

2002 Copyright MIRU , All Rights Reserved.