■ ふぇろ〜しっぷ in the Room
沢村様
Scene - 21

 ぽんとヒップを叩かれた綾香が四つん這いのまま開いた膝の間に身を割り込ませるのを見ながら、山崎はようやく瑞穂の唇を解放する。ねっとりと互いの唇に絡みついた唾液が糸を引き、ぼんやりとしている瑞穂の濡れた唇の上で一瞬だけ珠をつくった。
 肩に頭を預けている無防備に崩れ落ちかけている身体に張り付いたYシャツは白い肌と鴇色の胸の先端を淫らに透けさせている。純白のネグリジェ姿ばかりを見慣れている山崎の目に、自分のYシャツのみの少女の肢体が艶めかしい。
「間接キスになるけれど、いいかな?」
「……。後で俺とも間接になるけれど…まぁ…いい……です……か」
 どこか歯切れの悪い武藤の表情もまた熱を帯びている。キスの間は絶対に瞳を閉じている瑞穂には判らなかったであろうが、自分と瑞穂のキスを見ながら綾香が背を丸めてスラックスの上から少年の下腹部の下の辺りをゆっくりと掌全体で揉みしだき、少年は相手の下腹部の突起を指でこねているのを山崎は薄目で見ていた。――他人の濃厚なキスを見ながら、気づかれてはいまいと交わされる焦れた愛撫が二人の昂ぶり具合を示している。
 ゆっくりと恥ずかしげに、しかし妙に慣れた四つん這いの動きで身を割り込ませた綾香の瞳が、正面の瑞穂へと注がれた。ぼんやりと山崎の肩と腕に背中を預けていた瑞穂の身体がぴくりと揺れる。
「エッチな事…してあげる」
「……だ…だめ……そんな……」
 童女が悪戯っぽく言っているかの様な、少し舌足らずな柔らかい声で囁きかけてくる綾香に、瑞穂が弱々しくちいさく首を振った。緩慢な動作でYシャツの裾へと伸びて直そうとする華奢な手に、淫らであどけない笑みを浮かべて綾香がついと身を進める。
 日焼けと縁のなさそうな瑞穂の白い肌と比べ、綾香の肌は白いものの火照っている為か柔らかそうな質感と肌理の細やかさは乳幼児のそれに似ていた。少し明るい色の髪がピンク色に染まった肌を更に引き立たせている。
 瑞穂を乗せたままの腿の間に手をついた綾香に、山崎は強い現実感の喪失を感じた。――そもそもYシャツ一枚の少女が膝の上に居るというだけで随分と贅沢な状況であるというのに、その脚の間に身を割り込ませているもう一人の少女は全裸である…これはなかなかあり得る光景ではないだろう。
 瑞穂よりもワンサイズは大きいであろう豊満な胸は四つん這いの体制に重力に従ってわずかに形を崩しながらも、10代の少女特有の張りで半球状の形をさして崩さない。鮮やかな色をたたえた突起を一番下にしながら、少し動くたびに双丘がぷるんと揺れる。
 綾香の膝が山崎の腿に当たった。
「神くん……して…いい?」
「いいよ。綾香さんがしたいままにしてみて。――ただし、見える様にしないと駄目だよ?」
「うん……」
 腕の中で身を縮こまらせている瑞穂の身体が無意識にか後ろへうしろへとわずかに逃げようとしているのを、山崎は少し肩を前に押し出す事で止めさせる。
「津田さ……ん…、お……おねがい…だから……」
「ね……。酷い事はしないから…こわがらないで」
 Yシャツの裾を強く握り締める怯えた少女の両手をそのままに、片手を浮かせた綾香の細い指が瑞穂の頬をゆっくりと撫でた。先刻までのキスの火照りが抜けない桜色の頬を綾香の指が丁寧に撫で、その指がやがて唇へとたどり着く。
「やっぱり…柔らかい……。神くんのと違う……小さいのにとっても柔らかくって…室生さんの唇……気持ちいい……」
 どこか追い詰められている様な…それでいてうっとりとした表情を浮かべて人差し指と中指で執拗に瑞穂の唇をなぞる綾香の唇が、言葉を漏らすたびにわなないている。
「つだ…さ……ん……、だめ……」
 聞こえるか聞こえないかの細くちいさな声で囁く瑞穂に、綾香がとろりと微笑みかけた。
「怖くないから……ね…?優しくしてあげるから…怯えちゃ……いや」
「つ…つだ……さん……」
 山崎と瑞穂の唾液を絡めた指をゆっくりと離し、大きく開いたままの膝立ちになった綾香が、裾を押さえる瑞穂のYシャツの第一ボタンへと手を伸ばす。
 器用な手付きで、だが焦らす様にゆっくりと綾香がまず一つ目のボタンを外した。
...To be continue.