年上の恋人
【 前 編 】

 姉の親友である、その人が気になりだしたのは、まだ中学生の頃だった。
 姉と同級…ということは二つ年上になるわけだけど、笑顔がやけにかわいくて、ちょっとおっとりとした口調で話す。そんな彼女が姉を訪ねて家に遊びにくるのを、いつも心待ちにしていた。
 背中まで伸ばした長い髪を揺らして、キレイな声で笑う。
 いま、その人が俺の目の前にいる。



「ね、綾香さん」
「なあに? どこがわからない?」
 俺の声に綾香さんは問題集をめくっていた手を止めた。
 きまじめな表情。テスト前の家庭教師を頼んだのは俺だけど、ここまで真面目だと、なんだか後ろめたくなってしまう。
「………いや、そうじゃなくて」
 きょとんと目を見開き、首を傾げる彼女はとても年上とは思えないくらい、愛らしい。
 こんなかわいい女の子に「あのね、これからずっと、朝一緒に学校いこ?」と言われて舞い上がらない男がいたら、ぜひお目にかかりたい。もちろん友達にゃなりたくないけどね。
 二つ年上の、俺の恋人。
 まだちょっと自分でも信じられないけれど、俺は彼女の、もっともっと可愛い姿を知っている。俺だけに見せる、とっておきの姿。
「ちょっと気になってたことがあるんだけど」
「なに?」
 キレイな桜色の唇に目を奪われる。
 濡れた唇が目の前で艶めかしく開いている。
 欲望とはまったく無縁な清純さをたたえた顔のなかで、そこだけがくっきりと、彼女の熱を伝えてるような気がした。
 俺は彼女の瞳を見つめながら、静かに尋ねた。
「この間、俺を見ながら、司書室で何してたの?」



「やだぁ……神君、やめて…っ」
 腕の中で弱々しく抗う体。
「だめ。俺の目の前で、同じ様にやってごらん」
 後ろから抱きしめ、耳もとに唇をもぐらせると、ため息とともに体から力が抜けていく。
「俺を見ながら……ここ、あけてたよね?」
 柔らかなふくらみをブラウス越しに撫でる。
 頭をふりながら、身をよじる姿はどう考えても誘惑してるようにしか見えない。
 耳まで赤くしてるくせに、否定はしない。
 目線を合わせないように顔をそむけて、そのせいであらわになった首筋に遠慮なく唇を押し当てながら、ひとつひとつ小さなボタンをはずしていく。次第にあらわになってくる白い肌に、俺は足の間に熱が走るのを感じていた。
「綾香さん? こうやって胸をはだけて、何をしてたの?」
「いや……何にもしてない…っ」
 こどもみたいにいやいやをして、胸の前をかきあわせようとする。その腕を押さえ込んで、指先に唇を這わせると、それだけで腕の中の体がびくりと揺れた。
「嘘つきだね、綾香さんは」
 わざとゆっくりと指先を舐め回すと、目をぎゅっと閉じてゆるゆると息を吐く。
「こうすると、気持ちいい?」
「…んん……神君、だめぇ……」
 ちゅ、と吸い付くだけで震える感じやすい彼女。
「こんなこと、しちゃだめだってば…」
 浅い息をもらしながら、身じろぎする。
「さ、さつきがかえってきちゃう…んっ!」
 指先に舌をからめると、せっぱつまった声をあげた。
「………おねえなら今日は遅くなるよ?」
 耳元に囁くふりで、柔らかな耳たぶを唇で噛む。
「んぅ…っ」
「ねえ、司書室でも、こんなえっちな声、出してたの?」
 はだけた胸元の谷間を指先でなぞる。真っ白な肌がほんのり上気して、きれいだ。
「なんにもしてない…っ……あ……」
 ブラを押し下げるように、ゆたかなふくらみをひっぱり出すと、つんとキレイに上を向いたピンクの乳首がこぼれ出た。
 つっ…と、乳首の根本を指先でなぞる。甘い声とともに、乳首がきゅっ、と固くなりはじめる。しこった乳首をかるく押しつぶすようにひっぱってあげる。
「綾香さんの胸って、おいしそうだね…」
 囁くたびに、びくりと体が揺れて、膝がすりあわされる。きゅ、きゅ、と乳首にくり返される愛撫に、すっかり息があがってしまってるとこなんか、ホントに色っぽいったらない。ぷりんとふるえる乳房を包むように撫でては、尖った先端を擦りあげる。無意識なんだろうけど次第に胸を突きだすようにしているのが、いっそうそそる。
「んん? もっとして欲しい? こうして欲しいんだね?」
 乳首をきつめにひっぱって指先で押しつぶしてやる。
「ふぁ…っ!」
 はじかれたようにのけぞって、濡れた唇から甘い声がこぼれおちた。
「や……ぁんっ…じんくん……っ!」
 彼女がせつなそうに身をよじらせるたびに、柔らかい尻が俺の足の間に押しつけられる。その刺激に、俺のそこはみるまに硬さをまし、ジーンズを押し上げた。
「俺をみながら、こんなこと、してたんだ? 綾香さんは……」
 しこった乳首の感触を指先で楽しみながら耳元でささやくと、綾香さんは必死になっていやいやをする。
「ちが……してない……っ」
 真赤になって、でも目線をあわせないあたり、語るに落ちてるっていうのに。でも困った顔がかわいいから、もっといじわるしてあげる。
 耳の端をくちびるで甘噛みしながら、わざとゆっくりと乳首をこねてあげる。
「あ……っ」
 びくり、と腕のなかで綾香さんの体がふるえた。熱にけむった瞳がうっすらと開いて、白い乳房を包み込むようにしている俺の手をみつめる。ゆっくりゆっくりと、押しつぶしたり、かるくひねったり、ひっぱったり、硬く頭をもたげている乳首を執拗になぶっているその動きに、はぁ、と甘いため息がもれる。
「ほら……、綾香さんの乳首、きもちいいって硬くなっちゃってる……えっちな体だね。こうやっていじってたら、我慢できなくなっちゃった?」
「あぁんっ!」
 きゅぃっときつくひっぱりあげると、綾香さんの体がしなやかに反った。
「ね、綾香さん、教えてよ。……どんなこと考えて、触ってたの?」
 硬く目を閉じて、溺れかけてしまっている綾香さんに助け舟を出してあげる。胸が弱い綾香さんは、胸を重点的に責めるとそれだけでもう、こっちの言葉なんて聞こえてないんじゃないかというくらい感じきってしまう。ちゃんと答えられるように感じやすい乳首を開放して、ふにふにとやわらかな乳房を指先で堪能していると、つぶやくように、とぎれとぎれに綾香さんは答えた。
「あ…………じ、じんくんが……ここ、いじって……舐めてくれたら…きっと気持ちいいだろうな……って……」
 ついさっきまで、やってない、と言い張ったことも忘れて、真赤になって一生懸命嬉しすぎる告白をしてくれる、かわいい恋人。
「俺にこうして欲しかったんだ?」
 指先でとがった乳首をくりくりともてあそぶ。
「……ぅん…っ………してほしかったのぉ…………」
 さすがにそれ以上は言えないのか、きつく目をとじたまま、小さくあごをひいて、綾香さんはくい、と胸を突き出した。無言のおねだりに答えて、震えているピンクの乳首を思うまま捏ね上げた。腫れ気味で痛そうにさえ見えるのに、きつく引っ張ったりひねったりすればするほど、ジーンズの前に密着した柔らかなお尻が容赦なく俺を擦りたてる。乱れきったスカートは、足のつけね近くまでまくれ上がって、しなやかな足がひっきりなしにもがいているのが、よけいにそそられてしまう。
「あ……あぁんっ……はぁ……あ……あ……」
 しっとりと汗ばんだ頬にはりついた長い髪や、薄く濡れてほころんでいる唇、時折薄く目を開いては恥ずかしそうにあわてて閉じてしまう仕草、そのすべてがいとおしい。
「……えっちな綾香さんに、ご褒美をあげるね。ほら、ちょっと立ってこっちむいて」
 むきだしになった太ももを撫でながら促すと、綾香さんはやけにぎこちない動きで、のろのろと腰をあげた。太ももからお尻に手のひらを滑らすと、その理由はきかなくてもわかった。
 熱くほてった空気が足の間に充満している。うっすらと湿り気をおびた薄い下着の上から指先に力をいれてお尻をつかむようにすると、それだけで、綾香さんの唇から甘いため息がもれる。
「お漏らししてるみたいだね」
 耳元に囁くと、びくりと肩が揺れた。頬を上気させたまま、途方にくれた顔で俺を振り向く。その表情がふるいつきたくなるほど色っぽくて、腰のあたりがかっと熱くなった。
「動けないみたいだから……ほら、そのまま4つんばいになって…」
 綾香さんの背中を軽く押して、前に腕をつかせると、突き出されたお尻を覆い隠しているスカートをゆっくりとまくった。
 ゆたかに張り出したヒップと申し訳程度にはりついている白いショーツ。うっすらと透けてしまっているのは、汗のせいなのか。それともあふれた蜜のせいなのか。
「もっと腰をつきだして」
 くい、と腰がいやらしい線を描いて俺の前に突き出される。顔が見えないと恥ずかしさが薄らぐのか、その動きにためらいはなかった。ゆっくりとショーツ越しに尻をなでまわすと、誘うように腰が揺れた。
「うん? どうしたの? 綾香さん」
 スカートの脇のホックをはずして、邪魔なスカートを落としながら、背中にのしかかって耳元で囁く。
「……うぅん……」
 はずかしそうに目を閉じて、それでも腰はゆるやかに俺の腰の前をこするように動いている。
「あ・や・か・さん、ちゃんとおねだりあるなら、言わないとわかんないよ?」
 わざと、ぐい、とショーツ越しにきつく腰を押し付けると、綾香さんはじれったそうにいやいやをした。しっかり腰をつかんでいるのでもう自分から動くことはできない。
「……そ……そんなにしたら、じんくんのズボンが汚れちゃうよぉ」
「そうだね、いやらしい綾香さんがいっぱいお漏らししてるからね。もう内股びしょびしょだもんね……ほら」
 薄くはりつめた太ももの皮膚を掌でなぞると、綾香さんの体がびくびくと震えているのが伝わってくる。
「じんくぅん…おねがい……」
 綾香さんの両足の間に片膝を押し込み、ぐいぐいと圧迫してあげると、それだけで
「あぁっ」
悩ましい声があがった。
「なにをおねだりしたいの? ん?」
 乱暴とさえいえる膝の動きにゆさぶられて、それでも綾香さんは顔を真っ赤にして感じ入ってるようだった。
「じ……じんくんの、舐めさせて……」
 小さな小さな声が聞こえて。それはちょっと予想外のおねだりだったので、俺はおもわず苦笑してしまった。
 耳元にちゅっと小さな音をたててキスをして、おまけに頬にもうひとつキスを降らせる。
「うん、いいよ。綾香さんの好きなだけ、舐めて……」