■ ふぇろ〜しっぷ in the Room
沢村様
Scene - 19

 密着した腰でぎこちなく下腹部を刺激する瑞穂に、山崎の背筋をぞくりと劣情が這い上る。――幼なじみとはいえ一度ならずも愛撫し尽くしている肢体と羞恥に鳴きながらの肉体の媚態に、身体が反応しなければ嘘であろう。
「兄さん……いゃ…やぁ……んっ…兄さ…ん……いや…ぃや……」
 商売女に劣らない豊かな胸は2週間ほどの間毎晩弄んでいるものの飽きる事など想像もつかない程、淫らに手に吸いつきつつも張りのある感触は山崎を愉しませる。自分で始めから終わりまでをしゃぶりつくしたい衝動は存在するものの、山崎の中の冷静な部分がこの状況を楽しみたいと考えていた。幼なじみの少女と二人きりになる機会は作ろうと思えばいつでも作れる、しかし同世代の恋人達…しかも同じ様な趣向の人間とこうして同じ場に閉じ込められる事態はほとんどないのだから。
「――綾香嬢。どうしたい?」
 山崎の不意な問いに、瑞穂と綾香の身体がびくりと強張った。
「ど……、どう…するって……」
 戸惑っているのかたどたどしい口調で呟いた綾香の振り向く背後で、武藤が悪戯を思いついた様な表情で山崎を見る。
「綾香さんに…少し苛めさせてみたいな」
「神くん……!?」
「お互いに自分の女に手出しをされるのは避けたい状況だし……」
 武藤の言葉に綾香の頬が薔薇色に染まった。それぞれの事情を感じながら山崎は瑞穂の胸から手を離してYシャツの胸元から腕を抜いた。ひとまずの行為の中断に安心したのか強ばらせていた身の緊張を解く瑞穂の首がうなだれ、呼吸を繰り返す肩に長い髪がさらりと揺れる。――会話の流れを意識するには我を失いかけているのかもしれないその姿に、山崎の胸が些か痛む。だがついた弾みを止める意思は青年にはなかった。
「ね、綾香さん…室生さんを攻めている間は、指で苛めてあげるよ」武藤の提案に、3人を交互に見ていた綾香の視線が瑞穂へと注がれる。「ぐちゅぐちゅになっている所に指を根元にまで差し込んであげるよ。だから四つん這いになって俺にお尻を向けて室生さんを攻めてあげないと駄目だよ? 室生さんがあえぐたびにかき回してあげるから、頑張らないとね」
 耳元で囁きかけられる言葉の光景を想像しているのか、綾香の唇から鼻にかかった乱れた吐息が漏れた。
「でも…でも室生さんが……困っちゃう……」
 綾香の言葉に3つの視線が注がれた瑞穂の身体がぴくりと強張り、山崎のスラックスの前をヒップが挟み込む形で刺激する。好奇心と欲情と…そして自分の視線は何なのだろうか?
 自分の名前が話の中に登っている事に気づいた瑞穂がようやく事態に気づいたのか、山崎の膝の上で華奢な肢体がちいさく身じろぎする。
「――わ……わたし……を…、いったい……?」
「判っているんだろう?」異性に見られながら同性に責められるなど考えもしていなかったであろう怯えた響きに、山崎は瑞穂の耳朶を軽く噛む。「綾香嬢に遊んで貰うんだよ」
 噛まれた瞬間にぶるっと身体をちいさく震わせる瑞穂の髪が揺れ、甘い匂いが山崎の鼻孔をくすぐった。シャワーを浴びた後にしては濡れ具合の軽い髪から察するに、瑞穂はまだシャワーを浴びる前に巻き込まれたのであろう…今朝は朝のシャワーが無理だった為、夜更けに入った後に身体を洗えてはいない筈なのだが、男と異なり少女の身体に汗臭さは欠片もなく、こんな時ですら甘い。
「そんな……」
「『そんな』モノなのかな?綾香嬢は」
「違…っ、違い…違うの……そうではなくて……」
 嫌なものを嫌と言えない程弱い性格ではないと知っている幼なじみとして、瑞穂の言葉に山崎は口の端で嗤う。異性ならば緊張感があるだろうが、女同士というものは何故か緊張感が欠けてしまうものらしい。同性2人で一つのベッドに寝るのは男の場合は気持ちが悪い話だが、女というのは意外に平気らしいのと同じ理屈なのだろうか。
「あ…あのね……室生さん……」おずおずと瑞穂に声をかけた綾香に、瑞穂の身体がわずかに強張った。「――私……させて貰いたいの……」 申し訳なさげに、しかしどこか舌足らずな淫らな声音でねだる綾香の下腹部で襞をゆっくりと捏ねる武藤の指が、山崎の目に映る。
 ぬらぬらと粘液を絡みつかせた小振りな襞を指先が擦るたびに綾香の身体が軽い電気を流された様に震え、切なげな吐息が濡れた唇から漏れていた。
「津田……さ…ん……」
「ごめんなさい…室生さん……あの…ね……ぁ…あぅ……っ…、私……わたし……室生…さんの……胸…いじめたいの……」
「胸だけ?」
「き…キスも……っ…ちゃんと……キスもするの……室生さんの唇…柔らかいから…ぁん……ああんっ……甘く噛んであげたいの……っ」
 年下の少年の指先の細やかな仕草ひとつで小刻みに身体を震わせながら、操られる様に柔らかな声が淫らな妄想を口にする。その唇を唾液で濡らしながら、綾香の熱く潤んだ瞳は山崎達に…呆然としている瑞穂へと向けられていた。