Holiday きまぐれな夏 2
【 第4話 】

 裸になった俺の膝の上に服を着たままの絵里姉ちゃんが座っている。
 足をまたぐようにして腰掛けているせいで、ただでさえ短いスカートがずりあがって付け根まで全部見えてしまっている。すね毛まじりの俺の太ももの上に重なっている絵里姉ちゃんのむっちりとした白い太もも。肌と肌がじかに触れ合うなまなましい感触にごくりとつばを飲み込んでしまう。
 あらためて見直すと、そのあまりに非日常的な光景に意識が遠くなるような感覚を覚えた。ひどく甘いキスの余韻と、掻きたてられたばかりの快感の残り火がちりちりと絡み合って、疼きだした体の居所のなさを絵里姉ちゃんの甘い声が掬いとる。
「カズちゃん……」
 薄いセーターに包まれた腕が俺の首筋を強引に引き寄せ、目の前に愛らしく瞳を閉じた顔が迫ってくる。ちょっとしたいたずら心から、唇をそらして鼻先に一足先にキスをすると、拗ねたようにぱっと目を見開いた。
 してやったり、とにやけている間もなく唇がふさがれる。何のためらいもなくすべりこんできた舌を受け止めると、もう余裕などどこかに吹っ飛んでしまった。ただ味わう事だけに夢中になる。一時もじっとしていない舌先を捕らえて吸い上げ、次々と溢れ出してくる蜜を飲み下す。更に深く、奥までと伸ばした舌が絡めとられ、熱く濡れた気持よさにあっという間に心を奪われてしまう。
「んぅ………ン」
 心の奥を侵食する飢えが、そのわずかな快楽を貪ぼるために荒々しい牙を剥き出しにした。次第に激しさを増していく口内への愛撫に、絵里姉ちゃんの喉が鳴る。鼓膜に響くその音がもっともっとと俺を駆り立てる。思い通りにできない上半身で仰向いた顔を真上から押さえ込むように深く舌を差しこんで、それでも首筋にしっかりとしがみついたまま離れようとしない絵里姉ちゃんが可愛くて愛しくてたまらない。その気持ちはそのまま荒々しい舌の動きにあらわれてしまったようだった。
 甘いキスをしているのではなく、舌で絵里姉ちゃんのカラダの内側に侵入している。その唇を犯している。奥で息づく全てを奪いたい。舌で、この体で、猛る部分であらゆる場所を。この手で触れる事ができない分だけ、はっきりと感じられるように。
「あ……はぁ………っ」
 ようやく、思うだけ息を吸えるようになった唇からはすぐには言葉は出てこなかった。
 ぶつかり合った瞳はお互いの欲望を映してゆらめき、声にならない願いを読み取って早くも戸惑いさえ浮かんでいる。
「絵里姉ちゃんの裸、見たい」
 逃げ道を断つために、まだ荒い息のまま唇の上に囁く。
「やぁ……やだ、恥ずかしいよ……っ」
「だって、俺ばっかり裸って、ずるくない?」
「ずるく、ないもん……だって……あっ」
 恥じらってそらされた横顔に頬をすりよせ、耳元に息を吹きかける。もっと近くから、深く言葉が入り込んでいくよう、吐息とともに声を落としていく。
「見せてよ。絵里姉ちゃんの体、全部みたい」
 耳たぶに唇があたるたびびくびくと震える。その服の下がどうなっているのか、俺は想像でしか知らない。こんなに近くで、今触れているのに、この手で暴くことができないのがとてつもなくもどかしい。背中から時おり金属がぶつかる硬質な音がしているのに、絵里姉ちゃんも気づいたようだった。
 浅く息を吐き出して、俺の首筋に伸ばしていた腕を解く。
「じゃあ、み、見るだけ、だからね……」
 体を起こして、そんなことを頼りない口調で言い含めた。
「どっちにしても、俺は手使えないだろ。それとも手錠外してくれるとか?」
「絶対ダメ」
 即答だ。なかなかに手ごわい。でも、変な話、それでこそ絵里姉ちゃんだ、なんてちょっと笑ってしまった。
 俺の軽口で気が楽になったのか、膝の上に座ったまま無造作にセーターをまくりあげはじめた。白い肌が目の前で露になっていく。淡いピンク色のブラに包まれた豊かな胸が、セーターを脱ぎ捨てる伸びやかな動きにあわせて誘うように形を変えた。
 息がつまりそうだ。見ている目の前でブラが緩み、ふんわりとしたラインの乳房が顔を覗かせる。考えていたよりもずっと大きい。きっと手で包んでも余ってしまうだろう。見るからになめらかそうな肌の白い乳房と濃いピンク色の乳首。それが呼吸に合わせてふわふわ揺れている。その先がちょっと固そうにとがって見えるのは俺の気のせいだろうか。
「まだ残ってるよ」
 ブラを下に落としたところで、絵里姉ちゃんがちょっと困った顔で動きを止めてしまったのに気づいて促した。
「……下も?」
「下も。全部だよ。でないと裸にならないだろ」
 駄目押しするとやけに素直に、でものろのろと膝から降りてちょっと危なっかしい足取りで俺の前に立った。
 ちらりと俺の顔をみてから、スカートを床にすべり落とした。続いて妙にすばやい手つきでブラとおそろいらしいピンクのパンティも脱いでしまう。時間をかければかけるほど、脱ぐのが恥ずかしくなってしまうと気づいたのかもしれない。
「ほら、脱いだ、よ?」
 半ば挑むような目つきで俺を睨みながら、絵里姉ちゃんはその体を起こした。
 ついさっきまで恥ずかしがっていたくせに、形ばかりにも体を隠そうとしないのは、実に絵里姉ちゃんらしい意地のはり方だと思う。見るなら見なさいよ、とでもいいたげに、でも、そのくせ耳まで赤くなっているものだから、なんだかもうそそられてしまってしょうがない。
 目の前にある絵里姉ちゃんの裸。それは想像していたよりも、ずっと華奢で、可憐で、肉感的で、俺は目をそらすこともできずに言葉をうしなっていた。
 上気した頬と目の縁が淡く染まって潤んだ瞳。拗ねたようにとがっている唇。そして、ほっそりとした首から肩にかけてのなだらかなライン。つん、と上を向いた2つの乳房の先はピンク色をしていた。
 それだけでも十分破壊力があるというのに、くびれたウエストや、うっすらとけむるような茂み、みるからに吸いつきそうな肌のむっちりとした脚まで、なにもかも丸見えになっているのだ。
「絵里姉ちゃん―――…」
 ごくり、とつばを飲み込む。
 目の前で白い体がゆらりと動いた。あろうことか絵里姉ちゃんは細い顎を引くと、両腕を後ろに回して背中をくっとそらし、胸を突き出すような姿勢になった。
 淡い色の乳首がまるで誘うかのように差し出される。ぷっくりと膨らんだ小さな木の実みたいな乳首。それを口の中で転がしたらどんな味がするんだろう?
 ただれきった思考よりも早く、体は正直に反応していたらしい。
 恥じらいの中にも沸きあがる欲情を隠し切れないでいる絵里姉ちゃんの視線が俺の股間に止まった。
「あ、すごぉい、びくびくしてるぅ」
 だから、そんな嬉しそうな顔になるのはナゼですか。
 口にしたら最後、世にも恐ろしい報復必至のツッコミをなんとか飲み込む。
 さっきあれだけ舐めたのにまだ物足りなそうな絵里姉ちゃんもどうかと思うけど、その視線で更に昂ぶってしまう俺も俺だ。
「俺のはいいの。それより、まだ、全部じゃないだろ? ちゃんと見せてよ」
 催促すると、ぐっ、と声をつまらせ、上目遣いに俺をにらんだ。
「全部、って………。その、見せないと……だめ?」
 まだ俺に見せてない場所。それがどこなのかわかっていながら、なんとか逃げ道を探そうとしている。ちらちらと見え隠れする羞恥心と戸惑いのいりまじった表情に強張りかけたそこが熱く疼いた。
「見せるの嫌?」
 尋ね返すと、言葉を飲み込んで、しばらくしてからポツリと囁いた。
「…………恥ずかしい、よ」
 真っ赤になって、眉をよせて、困った顔で、俺を見ている。剥き出しになった肩も、胸も、あちこちが上気してかすかに震えている。
「うん。そうだな。俺も見られて恥ずかしかった」
 これを言うのはずるいと思いながら、でも、あえて言う。
「どうしても、嫌ならいいけど……でも、俺は見たいな」
 見つめあったまま、息詰るような時間が過ぎていく。やがて、その静寂をごく、と白い喉が鳴る音がやぶった。
「ん、いいよ……ちょっと、待ってね」
 そう言い残すが早いか小走りに台所に走っていくと、カウンターテーブルに置かれていたダイニングチェアをひとつ抱えて戻ってきた。
 ソファ前のテーブルを向こうにずらし俺の膝先にその椅子を置く。
「でも、ホントに見るだけ、だからね。……触っちゃダメなんだから……」
 もう一度真っ赤な顔で念を押して、ソファに座って見上げる俺の目の前で、絵里姉ちゃんはゆっくりとその椅子に腰を下ろした。
 椅子に座るだけの、ただそれだけの動きでさえ、なにもかも隠しようのない姿では誘うような素振りにしかみえなくて、俺は情けなくも立ち上がろうとする体を押さえ込むのに理性を総動員しなくてはならなかった。
 俺も裸なら絵里姉ちゃんも裸で。ほんのわずか体を傾けた瞬間に内股で光ったものがなんだったのか、想像するだけで反りあがったものがさらにじくりと体積を増す。
 俺の内心で荒れ狂う欲望の渦などまったく知らない様子で、絵里姉ちゃんは少し腰をまえにずらして椅子の高い背もたれによりかかった。そうしてふっと顔をあげた瞬間、視線が交わった。
 ここまでさんざん人を振り回したくせに、その顔は隠し切れない恥ずかしさに火照り、潤んだ瞳が困惑ぎみに揺れていた。
 はじめて目の当たりにする、絵里姉ちゃんの戸惑い。逡巡。途方にくれた子どもみたいな顔が、今までの立場をたやすく入れ替えてしまった。
「絵里姉ちゃん」
 ただ名前を呼ぶだけで、びくっと、震えが絵里姉ちゃんの体を駆け抜けていった。
「ぁ…………」
 何かを覚悟するかのようにぎゅっと目を閉じられる。目が離せない。心を奪うような含羞の仕草と、体中を支配する欲望の色。
 はぁ、と薄く開いたピンク色の唇から吐息が漏れる。
 その手が膝裏に当てられて、小さな小さな囁き声が静かな部屋に響いた。
「……見てぇ…………」
 その言葉と同時に真っ白な太ももが浮き上がり、豊かな胸を押しつぶすように引きあげられた。
「あ……っ」
 にちゃり、と鈍い水音が聞こえたような気がした。
 目の前1メートルのところ、白い脚の真ん中にピンクの花びらが咲いていた。
 赤ともピンクとも言えない、ぬめるような肉色。
 生まれて初めてじかに見るそれは、インターネットで流布しているモロ出し画像よりもはるかに生々しい臨場感に満ちていて、はっきり言ってお世辞にもきれいとはいいきれないたたずまいだった。
 けれども。
 これが、絵里姉ちゃんの、女の部分なのだ。
 いままで俺が見ることができなかった、隠された欲望の場所。
 そうと思うと、息をすることすら忘れてしまいそうな興奮が俺の全身を包み込んだ。
「すごい…」
 複雑に入り組んだ襞がため息をつくみたいに、目の前で息づいている。部屋のあかりに反射してきらきらと光って、それが絵里姉ちゃんの愛液で濡れているからなのだ、と気づいた瞬間、言葉にならない欲望が束になって頭の中を一気に埋め尽くした。
 釘付けになって視線をそらすことができない。
 もっと近くで、どんな風になっているのか確かめたい。
 その衝動を止める事はできなかった。俺は引き寄せられるようにソファから身を乗り出し、浅く座りなおして絵里姉ちゃんの脚の間に身をかがめた。
「あ、や………、そんなに近くで見ちゃだめぇ」
 気配を察知して目をあけた姉ちゃんが、慌てて脚をばたつかせた。けれどもすでに俺の頭が脚の間に入り込んでいるせいで閉じることは叶わない。わずかでも視線から逃れるように、高い位置で膝先が寄せられる。けれども濡れて蜜まみれになっている部分を隠しれるはずもなく。絵里姉ちゃんが隠そうとすればするほど、中途半端によじれていく花がどれだけいやらしく目に映るのか、知っているのだろうか。
「見せてくれるって約束だろ」
 視線を上げると、絵里姉ちゃんは困ってるんだか泣きそうなんだか、よくわからない顔で小さくいやいやをした。
「や、息がかかっちゃう……お願い……そんな近くで、なんて言ってないよぉ……」
 その仕草の可憐さと新鮮さに、もっと意地悪してみたくなってしまった。だって、こんなチャンス、もうないかもしれない。こんな絵里姉ちゃんもう二度と見れないかもしれない。
「俺は手使えないんだから、隠さないでくれよ。それよか、もっと、開いてちゃんと見せて」
「え、ひ、開く、って……?」
「ここ、指で開いて、奥まで見せて」
「奥、まで………」
 俺の言葉を理解した絵里姉ちゃんは、かぁっ、と音がしそうなくらい一気に真っ赤に茹で上がった。
「なっ」
 あまりの恥ずかしさにどうやら限界さえふりきってしまったのか、
「何いってるのよっ、カズちゃんのばかぁぁぁっ!」
 次の瞬間いつもの絵里姉ちゃんの声が鼓膜に突き刺さった。
「ばかばかばかっ、すけべっ、えっちっ、変態っ」
 弾丸のように非難の嵐が降ってくる。足も容赦なくばたつかせて、それでも踵落としが1回で済んだのは絵里姉ちゃんなりの手加減なのだろう。
 恥ずかしがって弱々しくゴネてた様子は叔母だなんて思えないほどエッチで可愛いかった。でも、こんなカッコだというのに、いつもみたいに強がってる絵里姉ちゃんはもっともっと可愛くて、無防備で、こういう絵里姉ちゃんが一番好きだ、なんて心の底から思ってしまった。
 にやけそうな顔を無理やり引き締めて
「だから、ンなこと、絵里姉ちゃんにだけは言われなくないって」
 まあ、嫌ならそれでもいいけど、と言うが早いか、俺はひょいと顔を突き出した。
「えっ? ぁ………っ!」
 すぐ目の前に咲いている絵里姉ちゃんの花。ほんの少し舌を差し出すだけでよかった。ぴちゅ、と聞こえないくらいかすかな音を立てて、舌先が絵里姉ちゃんのぬめった粘膜に触れる。舌の上に広がるかすかな塩味と酸味。これが絵里姉ちゃんの味。ただの体液に違いないのに、なんでこんなにいやらしい味だと感じてしまうのだろう。もっともっと味わいたくて襞の間に舌を差し入れた。むわっと濃い女の匂いが顔中にまとわりつく。
「ひゃぁんっ!」
 鼻先をくすぐる茂みと、溶け合うように隔てなく滑りあう粘膜のなめらかさが、これが夢でもなんでもない、現実の出来事であることを俺に思い知らせた。
「やっ、だめっ、触っちゃだめ、って……あ……っ」
 責める声にかまわず、開いた2枚の花弁をそれぞれ外側に撫でつけるように舌を滑らせた。舐めてはまた顔を離してそこをまじまじと見つめ、また舌を伸ばす。触れるたび目の前でひくんと息づく花びらの生々しさに、下腹部が痛いくらいに充血していく。
「だって、絵里姉ちゃんが開いてくれないんだから、仕方ないじゃん。俺は手、使えないんだし……」
 開いても押しつけてもたやすく浮き上がって唇を突き出してくるぽってりと充血したピンク色の襞。そのつけ根から、内側から、確かめるようにしつこく舐め上げる。その都度、高く切なそうな声が頭の上で響いた。
 どんなに駄目押しされたって、こんないやらしい絵里姉ちゃんの体をただ見てるだけなんて絶対無理にきまってる。勝手なことをしたからには後でどんな仕返しが待っているかわからない。でも切なさに眉をひそめて体中を上気させて、俺が舐めるたびに甘い甘い声をあげる絵里姉ちゃんを見れたこの幸せを思えば、そんなの全然たいしたことない、と思う。多分。
「く…ン……あぁっ、だめ、舐めちゃ、だめなのぉ……」
 ほんとうにダメなら頭を押しのければそれで済む話。でも絵里姉ちゃんの手は縫いつけられたように太ももを押さえたまま動かない。
「じゃあ、自分で開いてみせてくれる?」
 返事は、なかった。答えるどころじゃないのか、聞こえないフリをしているのかわからないけれど、多分それが、答えなのだ。
 顔ごと擦りつけるようにして、襞の合わせ目からクリトリスをほじりだすと、びっくりするくらい激しく体が跳ね上がった。
「あっ、あぁ……ぁんっ、カズちゃん……そこはダメ………おねがい…っあああああっ!」
 ダイニングチェアがぎしぎしと音をたてて軋む。
 不自然に背を丸めたたままかがみこんでいるせいで背中が悲鳴をあげていたけれど、顔をあげる気にはならなかった。
 舐め回す俺の唾液か、絵里姉ちゃんから溢れ出しているものか、あるいはその両方で花とその周辺はびっしょりと濡れそぼり、ピンク色の芽も襞の間からかわいらしく顔をのぞかせていた。舌先にこねられるままにピンク色の花びらがたわみ、襞の合間から次々に染み出した蜜をまとってぬめぬめとほどけていく。それは、頭の中が空っぽになるくらい、いやらしい光景だった。
「はぁっ、あ………見るだけ、って言ったのにぃ……あぁんっ」
 恨みがましく睨む瞳もとろりと潤んで色っぽいだけで、だからもっと可愛い喘ぎ声を聞きたくなってしまって、行き場の無い気持ちをぶつけるように舌を動かしてしまう。
「舐めても舐めても、絵里姉ちゃんの味がする…ここ、びしょびしょになってるよ」
 昂ぶる気持ちのままに見た通りを口にすると、
「そんな風にするから、いけないんだもん……くぅン」
「そんな風、って?」
「あ、あ! あぁぁ…………っ」
 尖って腫れた芽を舌先でいたわるように優しくなでる。できるだけ優しく、と意識しているはずなのに、そっと触れれば触れるほど激しく震える体が、駆けぬける快楽の激しさを物語っていた。
「………カズちゃんが、舐めて…………気持ちよくするからぁ………」
 きゅぅっと目の前で花が収縮し、押し出されるように花びらのふちから蜜が溢れ出してきた。
「舐められて、気持ちイイんだ……」
 絵里姉ちゃんの唇から、その言葉が出てきたことがなんだか信じられない。
「もう、ヘンなこと、言わせないでよ、カズちゃんのばか」
 自分の足を抱え込んで、蜜まみれのそこを差し出すような格好でそんなことを言われても説得力なんてない。
 つぎつぎと蜜を滲み出させる入り口を舌先でくすぐる。からみつく襞を潜り抜けて奥へと差し込むと、ぬめる壁が舌を柔らかく押しつぶそうと蠢いた。
 くらくらとしてくる。あまりの興奮で下腹部のそれがびくびく震えているのがわかる。ここに入ったらどんなことになるのか、どうもみくちゃにされるのか、舌に感じられる動きから想像するだけで、ぞくぞくしてしまう。
「すごい、絵里姉ちゃんの中って、やらしい」
「ばっ、な、何いってるのよぅ………っああ! あ、やぁ、なに……っ」
 固く尖らせた舌で蕩けた花の中心を何度も突き刺していく。花びらの奥を掬うように舌先をひらめかせて、一度引いてはまたうねるそこに侵入していく。くちゅ、ぷちゅ、と絶え間なく響く卑猥な水音が、さらに絵里姉ちゃんをうろたえさせているようだった。
「おねがい、もう、……あぁっ、だめ、しないでぇ……」
 泣きそうな声に顔をあげると、ぶるっと白い体が大きく震えて、閉じられていた瞼が薄く開いた。太ももに押しつぶされた胸が大きく上下して、開きっぱなしの花がひくひくと震えていた。
「ダメっていったのに……もう、知らないんだから」
 快楽に染めあげられた婀娜っぽい目つきでそんなことを言うが早いか、椅子の上の体がゆらりと揺れて、白い手が俺の肩を突き飛ばした。
「なっ、わ………っ!」
 乗り出すようにかがめていた体が再びソファの背に乱暴に押し付けられる。次の瞬間ずっしり汗ばんだ体を胸でうけとめて、文句を言おうと開いた唇があっというまにふさがれた。
「んんん……っ」
 口の中に残る蜜の味を一気に全部舐めとるように、ぬるぬると侵入してきた舌が激しく暴れまわる。驚きはみる間に溶け出し、焼けるような欲情にすりかわっていった。