【 第2話 】

翌日の放課後はあっというまにやってきた。
寝て、おきて、学校に来て授業を受けてたら自動的に放課後だ。気がつくと昨日のことを思い出してぼんやりしてたから、よけいに早く感じる。
早く放課後になってほしい、という気持ちと、放課後になるのがちょっと怖い気持ちと両方あったように思う。どっちが重いか比べたら、やっぱり前者に偏ってはいたのだけれど。
昨日の帰りに打ち合わせしたとおり、学校を出る前に駐輪場から携帯にメールしてみた。どうやら高原はすぐには学校を出られないらしく、1時間後に待ち合わせを指定された。
うちはちょうど学校と高原の家の中間にある。あまり早く行って長々と待ってるのも嫌だったから、一度家で着替えてから行くことにした。
「なあに、今日は早いわねぇ」
家のドアを開けると、玄関でお母さんとはち合わせした。買い物用のビニールバッグを持ってるから、どこにいくかなんて聞かなくてもすぐわかる。
「着替えてから出かける。ちょっと遅くなるかも」
靴をぬぎちらかしながら、追求を避けるためすばやく自分の部屋へと飛び込んだ。
「亜紀ちゃんのとこ? いいけど、父さんが帰ってくる前には帰ってらっしゃいよー?」
そんな間延びした声とともに玄関ドアがしまる音が聞こえた。
お父さんが帰ってくるのはだいたい9時過ぎ。少し遅いけどうちはそれから家族そろってご飯を食べる。今日日の高校生の門限としては少し早めかもしれないけれど、特に今まで不自由を感じたことはなかった。今日もたぶんそこまで遅くはならないだろう。
亜紀は同じ高校に通う中学からの友達で、家も近い。直に遊びに行くことも、荷物を置いてから遊びにいくこともあったから、今日もそうだと思ったようだ。いくらウチが開けている家でも、さすがに正直にこれから男の子の家に行ってきます、とは言いにくい。勝手に勘違いしてくれてちょっとほっとした。
さっとシャワーを浴びて下着を取り替え、鏡の前でちょっと悩んで襟が大きく開いた白いカットソーと裾が開きすぎないグレーのミニスカートを選んだ。
友達と出かけるときと同じ、いつもどおりのカッコであとはリップをぬるくらい。高原は彼氏ってわけじゃないし、あんまり気合をいれすぎるのもなんか期待しすぎてるみたいで嫌だった。
一通り用意してから、ベッドに座って携帯を開いて高原からもらったメールをもう一度チェックしはじめた。



あのあと、私は少し気恥ずかしい気持ちをひきずったまま、高原は何にもなかったような涼しい顔で、思ったよりも早くアンケートの集計を済ませることができた。
集計結果を職員室に持っていくと、担任の三島先生はプリントや本がうず高く積み重なった城塞のような席でノートパソコンから顔をあげた。
「おぉ、もう出来たのか。さすが名取、さんきゅ」
集計用紙を渡すと、ざっと目を目を通して検分する。
「お疲れさん、いつもありがとな。助かった」
三島先生は国語の先生で、うちの高校の先生の中ではひときわ若い部類に入る。涼しげな目元に細いフレームの眼鏡がよく似合っていて、背も高いし、かっこいいと思ってるファンの女の子もいるみたいだ。
怒るときはかなり厳しく怒るけど、普段はけっこう冗談も通じて、なんというか年の離れたお兄ちゃんってこんな感じなのかな、とよく思う。
去年も三島先生が担任で、私はクラス委員で、なにかと手伝わされていろいろ話をしてたから、よけいにそう思うのかもしれない。
「友達に手伝ってもらいましたから」
正直に申告すると、じゃあ友達の分も、と机の上の袋から飴を2つ3つとりだして掌に乗せてくれた。
「……先生って甘党でしたっけ?」
オレンジやレモンのポップなイラストがついたキャンディは、男の人が買う飴の選択肢としてはけっこう変わっている気がした。
「いや、昨日あたりからなんか喉がおかしくてさ。気の迷いで禁煙なんか始めたら妙に口さびしいし、そんでガリガリ飴くってたら、仮谷先生がたくさん買ったからって一袋分けてくれたんだ」
そこまで言ってから三島先生はちょっとあたりを見回して、そっと声を潜めた。
「でもこれが甘すぎて減らないんだよ……なんならもう少し持ってくか?」
「はーい、じゃあもらうー」
先生というよりは、手先が器用で面倒見のいいフツーのおばさんみたいな生活科の仮谷先生。色白でふっくらとした顔を思い出すと、なるほどこのいかにも甘そうなキャンディはいかにもらしくて似合っていた。
片手にてんこもりになった飴を上着のポケットにしまったら、ちょっと不恰好に膨らんでしまった。
「飴ありがとです。じゃ、失礼しまーす」
「おう。気をつけて帰れよ」
一礼して職員室を出る。歩くたびポケットの中がかさかさと小さな音を立てた。
仕事のご褒美に飴だなんて、なんだか子供のお使いみたいでちょっとおかしい。思わずひとりでくすくす笑ってしまった。
教室に戻ると、高原は行儀悪く机に腰掛け、帰りの支度をして待っていてくれた。
2人とも自転車通学で、帰り道も途中までは一緒だった。
分かれ道の手前にある公園でチャリをとめ、先生からもらった飴を半分こしてなめながら、明日どうするかを相談した。
前に遅くなったとき高原に家の近くまで送ってもらったことがあったので、高原は私の家を知っている。でも、私は高原の家を知らない。クラスで一番仲がいい男の子とはいっても、学校の外で会うほど親しいわけではなかった。
そこで、明日は別々に学校を出て、私がぎりぎりわかる場所ということで、高原の家の近くのコンビニで待ちあわせすることに決めた。
カレカノになったわけではないのだし、一緒に帰るのもよけいな誤解を招きそうで面倒だ、ということで意見が一致した。
「なんとなく秘密のタクラミみたいね」
いろいろ打ち合わせするのが面白くて、何の気なしにそう言うと、高原はバカうけしていた。
「タクラミね。なるほど。じゃあ俺達共犯者だな」
教室で私の頭に浮かんだ言葉が、ふいに高原の口からでてきてドキッとした。
たまらなく不思議で、でもなんだか当然のような気もした。
話しているうちにだんだん陽が翳り、あたり一面がつかのま朱に染まっていく。
公園の木々は黒々とした影に姿を変え、6時を知らせるお決まりの音楽が人の気配がなくなった小さな公園に長い余韻を残して響きわたる。
隣の高原の横顔がやがて静かに遠くを見つめ、つられるように私もその視線を追う。
住宅街の彼方へ消えようとする夕陽が、間際まで艶やかな朱紅に輝く瞬間を、いつしか言葉もないまま並んで見つめていた。



その夜のお風呂は、髪も体もいつもの倍くらい時間をかけて丁寧に洗った。
男の子の前で初めて裸になるのだ。洗いすぎて洗いすぎることはない。
もう昼間に上半身は見られてしまっていたけれど、明日はそれこそどこを見られてしまうかわかったもんじゃないし、それでなくても自分の体には全然自信がないのだ。ならばせめて清潔に、と思うのがせめてもの女心というものだろう。
胸はおっきいな、って言ってもらえたけれど―――。
つい思い出してしまって、洗う手が止まった。
白くてふわふわの泡につつまれて丸い線を描いている2つのふくらみと、その頂点にある薄い色の乳首。この胸を、高原の指が愛撫した。それだけじゃない。吸われて、口の中で転がされて、いっぱいいやらしいことをされてしまった。
教室でこちらの顔を覗き込んでいたときの深い色の瞳が脳裏に浮かぶ。
いつもの人懐っこい高原とはぜんぜん違う。意地悪で、容赦がなかった。静かな声を聞いてると、まるで心がどこかにつれていかれてしまうようで、ひどく恥ずかしいのに言う通りにしなければいけないような、そんな気持ちになった。
触られた時のしびれるような気持ちよさを思い出すだけで、じんわりとおなかの奥が疼いて胸の先が頭をもたげてきた。
(ちょっとだけ……)
ふっと息を吐きだしてから、バスタブのふちにスポンジをおき、泡がのっている乳首をきゅっとつまみ上げてみた。
「んっ……」
きゅぅん、と先っぽが昼間みたいに疼いた。
そのまま泡のぬめりをかりて、指の腹で強めに転がす。
始めたら、止められなくなってしまった。胸の先から滲んでくる快楽は一瞬であまりにもものたりなくて、だからずっと指を動かして、それが途切れないように何度も何度もとがった乳首をなでまわさずにはいられなかった。
そして、気持ちいいのは気持ちいいのだけれど、それは高原がしてくれたときにくらべればあまりにも味気ないものであることに、気づいてしまった。
はじめて感じた男の子の大きな手の感触。耳の奥に直接流し込まれる熱い吐息と声。
教室でされたのと同じように、胸をつまみあげながらクリトリスを撫でる。胸から体の中心に向かって熱い疼きが流れ落ちて、指の動きにあわせていくつもはじける。いつのまにか腰がゆるく動き出して、誘うように揺れはじめていた。
そういえば高原の指は私の外側だけを撫で、中に入ってこようとはしなかった。自分でするときもいつも芽だけを触る。中は試してみたけれどそれほど気持ちイイとは思わなかった。
でも、もしかしたら、高原が触れたらものすごく感じるようになってしまうかもしれない。自分でしてたときとは比べ物にならないほど感じてしまった胸と同じように。
想像するだけで、ほどけた花の入口からあっというまにおびただしい蜜があふれて指先の動きを助けた。くちゅくちゅと湿った水音がきこえてくる。硬くとがった芽が焼けるように痺れて、ただ疼くしかない体の奥からじわじわと蜜を滲ませる。
「あっ、や…………っ」
高原の指もこのとけた花の感触を知っている。蜜をまとわりつかせて、指全体を使って芽や花びらを弄んでいた。
まだ自分でしか触れたことの無い、この中に高原が入ってくる……。こんなに夥しく濡れていても、やはりその時にはひどく痛むのだろうか。
胸にあてていた手を下ろし、そっと、やわらかく蕩けた泉の入口を撫でてみた。
「はぁ……っ」
たまらず甘いため息が漏れた。
転がし続けている芽から生まれた快感が、波紋をつくるように入口でわだかまって密度を増す。あてがっただけの指を誘うように卑猥な動きで花びらが収縮していた。一瞬だけ躊躇い、そのまま指先をくぼんだ襞の間に押し込んでいくと、狭い溢路が上下左右から指を飲み込んできつく締めつけた。
「は………ぁ………」
わたしの、体の内側。熱く絶え間なく収縮して蠢いているところ。高原はここをどう感じるのだろう。
痛みを恐れる気持ちよりも、期待が体を昂ぶらせる。ぞくぞくと通路の奥が震え、指で柔らかな肉をかきまわされて感じるにぶい愉悦に膝先が開いていく。
「くふぅ……んんん………っ…あ、や……うそぉ……」
腫れ上がった芽の付け根をなであげるたび、指を食いしめた花がいやらしく収縮する。そして、いやというほどはっきりと感じてしまう指の存在感の奥に、いつか快楽に育ってしまいそうなかすかな気配が見え隠れしていた
「はぁ……くぅ………んぅ………」
そのかすかな気配をたぐりよせるように、意識を集中する。芽を転がしながら、ゆっくりと、指を引き抜いては押し込んでみる。びりっと体の中心をかけのぼる快楽に、背がのけ反った。
「んっ、ふ………っ」
声をあげないよう唇をかみながら、細心の注意を払って同じ動きを繰り返す。湿った水音が下半身から生まれて鼓膜を叩く。いやらしい、セックスを真似た指の挿入で、感じてしまっている。
(こんなに濡らして、感じやすすぎ)
高原の低い声を思い出してみる。
(ほら…奥まで入ってるよ…ここが気持ちイイの?)
指の動きにあわせて突き上げてくる熱が、お腹の奥でぐるぐる渦を巻いている。もどかしい。うまく快楽のしっぽを捕まえればいくことができそうなのに。いたずらに快感をかきたてるだけで、なかなか昇りつめることができない。じれったさに、夢中で膝立ちで浮かした腰を誘うように揺らしていた。
「はぁ……っ」
湿った音がバスルームに小さく響きわたる。
いままでにないくらい指の挿入で感じてしまっていたけれど、でも全然足りなかった。芯が熱く火照って疼いて、でも中途半端に昂ぶったまま、そこから先に行くことができずどうしようもできない。
汗だくになっても終わりが見えないことに疲れ果て、諦めて指を引き抜いてしまった。
「ぁ……はぁっ………」
白いぬめりに覆われた指を、そっと舐めてみる。いやらしい匂いと、かすかな体液の味。
そのまま体積を増して主張している敏感な芽だけを指先で刺激すると、慣れ親しんだ気持ち良さが全身に広がって、疼きが急速に癒されていく。
再び乳首をつまんでくりくりと転がす。そこから生まれた快感と芽からの快感がひとまとめにたばねられて、蜜をこぼしている通路がきゅぅっと甘く鳴いた。
「あ、あ……っ……たかはらぁ……だめぇ……」
名前を呼んでみたらここにいない高原に見られているような錯覚で、快楽のボルテージが一段高くなった。一番感じやすいクリの付け根の部分をやわらかく撫でながら、乳首をきつくつまみ上げる。きりっと引き絞るような痛みが熱さになって胎内に溶けていく。
(名取はクリが感じるんだ? そんなに一生懸命こすって…いやらしいね。そうやっていつもオナニーしてるんだ)
もしここに高原がいたらどんなことを言われてしまうか、想像してみただけでもうダメになってしまった。
とめられない指も、動いてしまう腰も、なにもかもあの瞳で見られてしまう。
(乳首とクリどっちが気持ちいい? どっちもすごくかたくなってるよ)
「あ……はぁ……どっちも……どっちもいいの…っ……高原にされるの気持ちイイ……っ」
もうなにがなんだかわからなくなってしまう。
ただ快楽だけでいっぱいになって、夢中で指を動かし続ける。
「はぁっ、あ…………っ」
家族に聞こえないよう押し殺した息のこもった音が、教室での出来事を嫌でも思い出させた。
よく動く長い指と、恥ずかしいことをたくさんいう低い声。心の奥底まで届きそうな視線。
息づまるような興奮とともに押し上げられた愉悦の頂きへ、あっというまに昇りつめていく。
「あっ、あ、たかはらぁっ、だめ、だめ………っ、あ……………っ!」
限界までつめこまれた快楽が弾けて、全てが真っ白にとけていった。



「処女が思い出しオナニーってどうよ、ってねぇ……」
自分で思い返してみても、なんというか、かなり情けない。
昨日初めてもらった高原からのメール。『言い忘れた』という件名で、夕べお風呂から上がったら届いていた。
 <今日はお疲れさん。いくらオナニー好きでも、今夜は我慢して明日にそなえておくよーにw>
あんまりタイミングがよすぎたんで、頭にバスタオルを巻いたまま声をだして笑ってしまった。
 “今お風呂入ってたー。んでもって、たった今お風呂場でしてきちゃったよー!”
 <マジ? もしかして、学校でのこと思い出しちゃったとか?>
折り返しずばり言い当てられて、ぎょっとした。
高原の勘のよさときたらただ事じゃない。昼間の時も、今の質問にしてもそうだ。
それとも私がわかりやすすぎるだけなのか。
 “めちゃくちゃ気持ち良かったけど、もしかして高原ってテクニシャン?(笑)”
教室でもうすうす思ってたけど、メールでもやっぱり高原は容赦なかった。
 <お褒めいただき光栄至極。で、思い出してしちゃったの? それとも違うこと想像してオナニーした?>
お風呂上がりってだけではなく、心臓がどきどきと大きく脈打っていた。
嘘をつくのは簡単だけれど、そんなことをしても全部見透かされてしまいそうな気がした。なんだか教室での張りつめた空気に、まだどこか囚われてしまってるようだった。
液晶にならんだ文字をにらんでいたら、答える前に次が届いてしまった。
 <まぁいいや。明日あらためてゆっくり聞かせてもらうからw>
高原の言葉はまるで魔法をかけるみたいに、簡単に私をかき乱す。
いつもの調子にちっとも戻れなくて、なんだか甘くてふわふわして、それがちょっと悔しい。
 “やだよーだ。なにをオカズにしてたかなんて、絶対言わない(笑)”
 <女がオカズって言うかー? でも、そこまで言われたら、言わせる。絶対言わせるぞw  明日見てろよw>
 “やだ、ばか、えっち。そんな恥ずかしいこと聞かないでよ”
 <ばーか。そんなこと言うなら、いっそ俺の目の前でオナニーしてもらおうかな。思い出すだけで我慢できなくなるくらい、めちゃくちゃ名取を感じさせたい>
うぅ、とたまらずうなってしまった。私もたいがいエッチだと思うけど、やっぱり男の子はぜんぜん違う。目の前でオナニーだなんて、どうやってそんなこと思いつくんだろ。
でも、その場面を想像してしまった私も十分節操なしかもしれない。
実際に、私は高原の言う通り、思い出して自分でせずにはいられないほど、感じてしまっていたわけで。
正直に言うのは恥ずかしすぎるけれど、めいっぱい気持ちよくなってたことくらいはきちんと伝えておきたいな、ってふと思った。
散々考えたあげく
 “あんなに気持ち良かったのって生まれてはじめて。ありがとー(#^-^#)”
一度送信してから、もう一言追加した。
 “気持ちよすぎて、なんか癖になっちゃうかも”
なんとなく、勘のいい高原ならこれでわかってくれるんじゃないかって思った。
返事はひと呼吸おいてから返ってきた。

 <明日もっとしてあげるよ。おやすみ>

液晶に並んだ、きわめて無機質な文字の羅列。
なのに何度見直しても、まるで直に耳元で囁かれたみたいにドキドキしてしまう。文字が高原の声のように、私の意識を浸食する。
今日はもうこのメールに書かれた“明日”で、これから高原の家にいって、初めてのセックスをする。
あまりに急で、勢いに流されてるような気もするけれど、そもそも最初にしたい、といい出したのは私のほうなんだから、いまさら怖気づくのはおかしいだろう。
普通の女の子はもっと心の準備とか必要なんだろうか。その辺が私にはちょっとわからない。
教室でしたことがあんまり気持ちよかったから、怖さよりも期待のほうが勝ってしまっている。
ぼんやりしてたら、開きっぱなしの携帯から勢いよく着信メロディが鳴り響いて、思わず飛び上がってしまった。
「はい、もしもしっ」
『名取? いまどこ?』
「あ、まだ家。もう行ってもいい?」
慌てて立ち上がって話しながら鏡をのぞき、もういちど手櫛で髪を整える。
『おう、コンビニで待ってる』
「10分くらいで着くと思う。じゃまたあとでね」
携帯を切って慌ててバッグをつかむ。ふと、思い出して鏡に向かいさっとリップを塗ると、そのまま家を飛び出した。