赤いくつ
Written by : 愛良
[2] 黒いベルベットのワンピース


 おねだりが出来る相手もいなかった私が、物心付いた時、最初に教えられたのは我慢する、と言うことだった。貧しい施設の暮らしの中で、大人が知らない弱肉強食が、子供の世界には蔓延していた。強い者が、適度に腹を満たすことが出来、弱い者は、おかずを取り上げられたり、我慢を強いられる。幼かった私は格好の餌食だったし、弱者の本能からか、そのエナメルの赤い靴を履いて帰れば、虐められたり取り上げられたりするだろうと分かっていたからか、その靴を施設の傍の秘密の場所に隠した。あめ玉は、帰る途中で三つとも食べてしまっていた。
 汚いズック靴を履いて施設に戻った時、私は確かに、どこかで他の子達とは一線を画した様な気になった。私にはあの赤い靴がある。……そう思うと、とても満足だった。



 翌日、おじさんに言われた通り、私はその靴屋の前で赤い靴を履いて待っていた。おじさんは約束通り表れて、またお城へ私を連れて行こうとした。
「服を買って、おじさん。約束」
私はおじさんにそう言って、新しいワンピースを買って貰った。赤い靴に似合う、ベルベット素材の黒いワンピースだった。服屋で鏡に映った自分を見た時、私は凄く満足した様に思う。お店の人が
「とてもお似合いだわ、お人形さんのよう」
と言ったのを聞いて、至極当然だと思った。
薄汚れた服やスカートは私には似合わない。赤いエナメルの靴と同様に、黒のベルベットのワンピースは、私をかわいい女の子なんだ、と確信させた。
 そうして、その服を着たまま、私はまた昨日と同じお城へ連れて行かれ、同じように足を開いた。昨日と同じようにおじさんは私の足の間に顔を埋め、ざりざりと舌でパンツの真ん中を舐め上げた。相変わらずそれは気持ちの悪い感触だったけれど、服を買って貰ったのだから、どうってことない。施設の大きな男の子に殴られる事を思えば、我慢と言う程の事もないと私は思っていた。
「服を脱ごうね……」
と、おじさんが背中のファスナーに手を掛けた時、私は
「ぃや」
と身をよじった。折角の黒いワンピース。ベルベットの感触がとても気持ちよくて、いつまでも脱ぎたくないと思っていた。脱いでしまったら、この魔法は解けて無くなってしまうんじゃないかと思っていた。でも
「着たままじゃ、汚れてしまうよ」
と言う言葉ではっと思い出した。そう言えば昨日、白いぬるぬるしたモノを体に掛けられたことを。あんなに臭いものをこの黒い素敵な洋服に掛けられてしまったら、私は泣いてしまう。
 仕方なしに私はおじさんにされるがまま、ワンピースを脱がされた。気持ちのいい感触がすとん、と足下へ降りていくのが凄く残念だった。

「さぁ、舐めて」
おじさんが昨日と同じく突き出たものを私の目の前に押し出して、頬や唇に押しつける。言われた通り、舌先をちろっと出して、ぺろぺろと舐め始めた私に、今日はおじさんは色んな注文を付けた。
「もっと、根元から舐めるんだよ……そう、ここから……れろぉん、ってね」
「ああ、そうだ……べろでこの先っぽを……つつくように……うぅぅ……気持ちいいよ」
「口を思いっきり開けてごらん……ほら……口の中に頬張って……おおぅ……お嬢ちゃんのお口の中は狭いね……」
 私はむせて吐き出しそうになりながら、げほげほとえづいてはまた言われた通りにおじさんのそれを呑み込んだ。
おじさんは、私に色んな事を注文しながら、私のパンツを脱いだ体の真ん中を指でさすり始めた。くすぐったい様な感じがして、身をよじってえへへ、と笑う。
「ダメだよ。ほら、じっとしないと。」
おじさんにそう言われて、わたしは頑張ってじっとした。くすぐったいのが体の真ん中から込み上げてきて、それがほわんとしたいい気持ちに変わっていく。おじさんのモノから少し視線を落とすと、自分の邪魔のないつるんとした割れ目に大きな節くれ立った指が潜り込んでいるのがちらっと見えた。
「ぁぁ……いいよ、お嬢ちゃん、とても上手だよ……」
口の中に頬張って、頭を動かして、出したり入れたりしなさいと言われて、言われた通りにするのは、とても辛い作業だった。幼い口に、おじさんのそれは大きすぎた。でも、一生懸命すればするほど、おじさんの節くれ立った指が私の割れ目をどんどん気持ちよくしてくれる。淡い気持ちよさはふわふわと私を包んで、何ともうっとりとしてしまうのだ。黒いベルベットのワンピースを着た時みたいに。赤い靴がピッタリだった時に感じた、運命的な感動のように。
 おじさんは、とてもいい人。
私はいつしか、おじさんを絶対的にいい人だと思い始めていた。私に素敵な服と靴を買ってくれ、あめ玉をくれ、お風呂に入れてくれて、いい気持ちにさえさせてくれる。お父さんと言うのはこんな感じなのかも、と思うと、郷愁にも似た懐かしい憧れが芽生えて来たのかも知れない。

 唾液でべたべたになったおじさんのあれを、私の口から離して、おじさんは私をベッドに横にさせ、私の割れ目へそれをあてがった。おじさんのそれを濡らした自分の唾液が自分の下半身までをもべとべとに濡らしているのを感じた。
「足をぴたっとくっつけて」
と言うおじさんの言葉に従って、私は足を閉じる。おじさんのあれを足の間に挟み込んだまま。
「そう……お嬢ちゃんはとてもイイコだね……そのままいてね……」
おじさんはそう言いながら、大きな体を両手で支えて、腰を動かし始めた。おじさんの息が顔に掛かって、たばこ臭い匂いがする。はぁはぁと荒い息を吐き出すのは昨日と同じだった。
 擦られた内股が何だか妙な感じだった。おじさんのそこは熱を帯びた様に熱く、ぬるっとした感触が内股を気持ち悪くした。
「お嬢ちゃん、ちゅぅ、しようか」
とおじさんが言って、私の唇に大きな分厚い唇を重ねてきた。ぬるっとした唇は内股よりも気持ち悪く感じたけれど、今ここで「イヤだ」と顔を背けては、おじさんにもう二度と何もおねだり出来ない様な気がして、私はじっと我慢していた。
 はーはーと唇の上で荒い息を吐きながら、おじさんは
「お嬢ちゃん、ベロ出してご覧。……おじさんのおちんちん舐めた時みたいに」
と言った。おちんちんが何であるか、朧気ながら分かった私は、それを舐めた時のように舌を突き出してみた。おじさんの舌が口の隙間からぬっと入ってきて、おえ、と吐き出しそうな感触にびっくりしながら、それでもやっぱり私は我慢した。
 おじさんは、私の舌を吸い、弄び、絡めながら、腰を動かす速度を速めた。
「……ぅぅぅ……」
と呻く声を聞いた時、あの白いどろっとした液体が出る、と私は一瞬びくついた。おじさんはもの凄い力で私の肩を押さえたかと思うと、私を動けない様にして、内股の間に、熱いものを放出させた。昨日嗅いだあの匂いが、むぁっと広がってきたのを感じながら……それでも昨日ほどイヤな匂いに感じない自分を不思議に思った。

 おじさんは昨日と同じように私をお風呂に入れて、色んな所を丁寧に洗ってくれた。
「お嬢ちゃんは……聖カトレア園の子かい?」
その時に、おじさんは私が住んでいる施設の名前を口にしたと思う。私が頷くと、そうか、と言ってそのまま押し黙った。何か考えている様だったけれど、それが何なのかその時の私にどうして知ることが出来ただろう。

 昨日と同じように私をショーウインドウの前まで送ってくれたおじさんは、やっぱり
「明日もおいでよ」
と言って、チョコレートを三つ、私にくれた。銀紙にくるまれたチョコレートを、帰路に着く途中、やっぱり私は頬張って……今まで食べたことの無いくらい甘くて美味しい味に、私はやっぱりおじさんは凄くいい人なんだ、と思った。







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