赤いくつ
Written by : 愛良
[8] ゴリラ


 その日の放課後だった。体育教師から体育教官室に来るように言われたのは。辛抱の足りない男だ、と思いながら、私はこれから先起こるであろう出来事を容易に想像出来た。
「1−Aの緒方です」
そう言って入っていく。緒方と言う名字は、新しい施設へ送り込まれた時に本来の戸籍から分かったものだった。その時、名前も本来の名前を言われたけれど、私は受け入れなかった。数年間、未来と言う名前で来たのだから仕方ないと大人達は言い、未来、は私の通り名になった。
「ああ、入れ」
と言った後、体育教師は後ろ手で教官室の鍵を掛けた。その音が分からない私ではなかったけれど、気付かない振りをした。
「何ですか?」
あくまで、私が誘ったんじゃない状況を作っておくべきだと思っていた。呼び出された時に不快感を更に強くした同級生達と一緒になって、イヤだイヤだを繰り返してここまで来た。これで何があったとして、同級生に尋ねられた所で「何も」と答えても信用して貰えるだろう。
「いや……足、大丈夫か?授業中につったトコ」
体育教師はわざとらしく私の足下に跪いたかと思うと、その分厚いごつい手で私のふくらはぎを撫で始めた。その手のひらは少し汗ばんで、ねっとりと私の足に吸い付いてくる。体育教師などしているクセに、気持ちの悪い男だ、と私は思った。
「ぁ……だ、大丈夫です」
私は戸惑うように足を引っ込めながら、俯きがちにそう言う。
「そうか?クセになったらいかんから、よく揉みほぐしておかないとダメだぞ」
体育教師は私が足を引っ込め一旦は足から手を離したものの、また執拗に掌で追い掛けてきてふくらはぎを撫で回った。
「せんせ……」
今度は硬直したように動かないでいた。体育教師は
「ん?安心しろ。何もしないから」
と、表面上は穏やかそうな顔をしながら、私の肩を上から押さえて、椅子に無理矢理座らせた。足を体育教師の膝の上に乗せられ、ふくらはぎをマッサージするかの様に撫でながら、それでも徐々に鼻息が荒くなっているのを私は見逃さなかった。
「ぃや……せんせぃ……恥ずかしい……」
いやいやをするように首を小さく振りながら、さて、どうやったらこちらに有利にその後展開出来るか考えていた時だった。
 本当に、何とも我慢の足りない男だ。
体育教師が突然、立ち上がったかと思うと、椅子に座ったままの私に抱き付いてきたのだ。はぁはぁと荒い息を吐きながら、
「緒方……お前、俺を誘ってただろ?ん?ずっと……」
そう言いながら、股間を私の胸辺りに擦りつけている。椅子に座り上から覆い被さられているせいで動けない私は、誘ったのはプールの時一回だけだ、と心の中でツッコミを入れながら、
「いやー!せんせぇっ、何するのーーっ、やめてぇぇぇ〜」
と叫んでみた。慌てて体育教師は私の口をその大きな手で塞いで、懇願する様な目で私の視線に並ぶように腰を落としたかと思うと
「緒方……俺を好きなんだろ?先生もお前のコトが好きだよ……教師としてあるまじき事だとは重々承知している……でも、抑えられないんだ……」
と、言った。何だか勝手にシナリオを作って陶酔しているこの若い体育教師が、今の女子中学生達に人気薄なのは、仕方ないだろうと、何だか凄く納得したような気がした。頭の中で勝手に世界を作っているのは、おじさんが連れてきた男達と全く同じの様な気がした。
 私は抑えられた口から「う゛ー……う゛ぅう゛……」と、声にならない叫びを上げて、わざと足をばたつかせてみた。スカートが跳ね上がり、太股までまくれ上がる事はちゃんと計算に入れていた。
 その生足を見て、体育教師がごくん、と唾を飲み込む。そして、また腰に抱き付いて来たかと思うと、
「好きなんだ、緒方ぁぁぁぁ」
と叫んで、私のセーラー服を一気に首元までまくし上げた。白く幼いキャミソールと、その下のブラジャーが露わになる。先生ははぁはぁと荒い息を吐きながら、
「緒方も先生の事好きだよな?ん?好きなんだろ?ちゃんと知ってる。先生は気付いてたぞ。だから安心していいんだからな。先生も緒方の事好きだよ」
と一気に捲し立て、その発育途中の柔らかい乳房を鷲掴みにしてきた。そう言う事で、あくまでも強姦ではない、と体育教師は強調したかったのかも知れない。それにしても、何であたしがあんたのことを好いてるだなんて思いこめるんだろう、って私は思いながら
「いやぁぁぁ、せんせっ、だめぇぇぇ」
と、叫んだ。叫べば叫ぶ程、嗜虐の歓びに震えるらしい彼は、私のキャミソールを破く勢いで下にずり下げ、ブラジャーを晒し、更にそのブラジャーをまくり上げて、私の乳房を露わにさせた。
「いやぁ……やめてぇ……せんせ、だめぇ……」
私は怯えたような声を出し、そのくせ潤んだ瞳で体育教師を見つめた。
「ほら……その目だ。その目で俺を見て誘ってただろう?」
彼はそう言ったかと思うと、私の乳房を鷲掴みにしたまま激しく揉んで、乳房に顔を埋め、空いた乳首を勢いよく吸ってきた。
「ぁぁ……ぅ……んっ……ぃやぁ……っ……めて……せ……んせ……や……て……っ」
私は啜り泣きをしながら、徐々に喘ぎ始めた。ホントは発育途中で過敏になっている乳房を強く揉まれて痛くて仕方が無かったし、勢いよく、強く吸われた乳首は擦り切れそうな痛みしか感じなかったけれど、こうすれば男が歓ぶ事くらい、充分承知の上だった。
「緒方ぁ、緒方ぁぁぁ、未来っ、未来ぃぃぃっ」
ほんの少しちゅ、ちゅ、と乳首を吸い上げただけで、体育教師は私のスカートをがばっとまくり上げ、大きな掌を滑らせて腰元から下着を剥ぎ取った。
「んぅっ……んぅぅ……ぃやぁぁぁぁ……」
腰をくねらせ、下着を剥ぎ取られる事を拒む様な振りをしながら、私は体育教師が下着を剥ぎ取りやすいように少し腰を上げた。
「……ぁぁぁぁ……ぅ……」
一瞬にして剥ぎ取られた下着の下から露わになったそこは、男を誘うように甘い匂いを微かに発していた。獣の様な欲望に滾った体育教師の視線をそこに感じながら、私はまた腰を動かし、そこを隠すようにしてのたうち、頭を振っていやいやをした。
 体育教師はその大きな筋肉質の体で、私の両足首を掴んだかと思うと、強引にがばっと足を開き、逃げられない様にした。体育教師の視線の先には、無理矢理割り開かれた内股の中央から、ゆっくりと滲み始めた透明な輝きを称えた、未成熟ながらも淫靡なそこが見えている筈だ。
 私は両足首を持たれ、広げられたまま、両手で顔を隠して啜り泣いた。
「ぃやぁ……ぁ……ぅっ……ぇっ……ぃやぁ……ひっく……んっ……ぃやぁ……」
「嫌じゃないよな?嫌だったら濡れないもんな?……未来ぃ……好きだぞ。俺はお前が好きだからな」
 勝手なことを言いながら、体育教師は私の足の間に強引に体を滑らせ、その中央にある幼いそこを鼻でくんくんと匂いを嗅いだかと思うと、唾液で湿った舌で、必至にべろん、べろん、と舐め始めた。陰唇全体を舐め上げ、唾液で湿らせたかと思うと、大きくいきり立った自分のモノをジャージのズボンをずり下げ、取り出し、私の割れ目へとあてがう。
 え?もう?……と思った瞬間に、その熱い筋肉でそこも出来てるんじゃないかと思うくらいしっかりと太いそれが、膣肉を押し分けてぐい、と強引に入り込んできた。
「ぁぅぁ…………んはぁっ……」
体を弓なりに反らしながら、大人のそれを迎え入れるのはそう言えば久しぶりだったと、キツく感じながら、そのキツさ加減に一瞬酔った。体の許容範囲を超えて内臓を突き破りそうな長さと太さのペニスに貫かれる歓びを堪能しながら、少し腰をゆすって、膣内を締め付けることは忘れなかった。
「ぅぅ……ぁぁ……お前と俺は……一つになったんだ……」
遠い目をして、官能と自分の言葉に酔いしれる体育教師を下から眺め、膣内を締めたり緩めたりしてコントロールする事は意外と容易だった。
「ぃや……せん……せっ……はっ……ぁ……」
大きな体に細いしなやかな腕を絡ませ、しがみつきながら、私は首を振ってなるべく顔を見られない様にした。それが更に体育教師のツボに入ったらしく、
「大丈夫だ……安心しろ、お前は俺が守るからな……」
と、ズレたことを言ってくれる。
 何回か私を串刺しにした後、力任せに彼は私を腰の力で突き上げて、あっけなく果てた。
イク瞬間の獣のような咆吼は、ホントに獣なんじゃ無いかと思わせる位だった。

「ぅ……ひく……ぅ……っ……ぇっ……ひっく……」
私は少しの間放心したように、セーラー服をまくり上げられ、乳房を露わにされ、スカートの裾を翻し、すらりと伸びた脚とある程度生えそろった陰毛と、陵辱された痕を充分に体育教師に見せつけた後、いきなり涙ぐんで啜り泣きを始めた。
「ひど……ぃ……せんせっ……ひど……ひっく……」
体育教師はおろおろとし、戸惑い、自分のしでかした事の重大さに気付いた様だった。当たり前だ。世間じゃ私はまだたった14歳の女の子なのだから。いくら最近の子供は早熟とは言え、教師が生徒に対してレイプまがいの事をしたなんて、どう考えたって教師の方がその責任を問われるに違いない。
「緒方……泣くな……な?俺が悪かったから……」
体育教師はまず私を取りなすことから始めようとしたようだった。私は濡れた瞳を体育教師に向け、おもねるような口調で
「……せんせ……私を好きって……ホント?」
と小さな声で訊ねてみた。
「ぁぁ……好きだよ、緒方……お前が好きだから、抱いたんだ」
真顔で答える体育教師の顔を真正面から見据え、
「嬉しい……」
と、私は小さく微かに言った。でも、「私も」とは決して言わなかった。勝手に相手が勘違いしたことだ。
「ただ、俺とお前は教師と生徒だ。……誰にも言っちゃいけないぞ」
体育教師は、少し安心したように私に念押しをした。私は、神妙な面もちでこくん、と頷いた後、思い出したように
「ぁ……」
と呟いた。
「ん?」
耳ざとくそれを聞きつけた体育教師が、私に尋ねてくる。
「ううん……せんせ、私をずっと見ててくれた?……あのね……クラスのみんなが……そう言って……私、凄く恥ずかしかったんだけど……せんせがね……私のこと好きって……」
私は、少し俯きがちに恥ずかしげにそう言った。
「誰がそんなこと言ったんだ?」
「クラスの……殆どの女の子が……」
「そうか……」
何を考え込んだのか、体育教師はそう言った後黙り込んだ。
「せんせ、私をよく見ててくれたの?……私、気のせいだと思って……」
「そう……だな……中学生とは言っても……女の子は早熟だから……」
「うん……だって、せんせ、みんなに憧れられてるから余計だよ……」
「そうか……気を付けなきゃな」
体育教師は、一見爽やかそうでいてよく見ると狡猾そうな笑顔を私に向けて、にかっと笑った。私は心の中で、これでこいつはもう私を開けっ広げに見ることは無くなるだろう、と踏んだ。
「私……帰らなきゃ……」
そう言って、のそのそと服を整え、立ち上がると、体育教師はまたおどおどとした様子で
「気を付けて……帰るんだぞ」
と、私にさも教師らしい注意をした。一体何に気を付けろと言うのだろう。私は少し可笑しく思いながら、神妙な面もちで「はい」と素直に返事した。ほっと安堵する体育教師は、何だか体だけがやけに大きい筋肉質なゴリラに見えた。







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